静謐
「深夜、書斎に過ごす静謐なひととき」などのように使う「静謐」という言葉。
「静謐」は、音読みで「せいひつ」と読みます。
「静謐」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「静謐」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
静謐の意味
「静謐」には次の二つの意味があります。
1 世の中がおだやかに治まること。また、そのさま。
2 静かで、落ち着いていること。また、そのさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
静謐の意味①「世の中がおだやかに治まること。また、そのさま。」
「静謐」の一つ目の意味は「世の中がおだやかに治まること。また、そのさま。」です。
世の中がおだやかな状態に治まる様を表します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・天皇は、内侍所ないしどころで、天下静謐の祈祷をおこなわせ、また、警備の武士が増員された。
(出典:桑田忠親『明智光秀』)
・上杉謙信の天下静謐のための軍事行動も、じつは、かれ自身が天下を取るためではなくて、関東公方と京都公方を復活させるにあったことは、史実の立証するところである。
(出典:桑田忠親『明智光秀』)
類語
・公安(こうあん)
意味:社会治安が保たれて民衆が安心して生活できること。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・太平(たいへい)
意味:世の中が平和に治まり穏やかなこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・平静(へいせい)
意味:おだやかで静かなこと。静かに落ち着いていること。また、そのさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・安閑(あんかん)
意味:んびりとして静かなさま。安らかに静かに暮らすさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
静謐の意味②「静かで、落ち着いていること。また、そのさま。」
「静謐」の二つ目の意味は「静かで、落ち着いていること。また、そのさま。」です。
静かで落ち着いている状況を表します。
「謐」は「やすらか」や「ひっそりしたさま」などの意味を持つ漢字です。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・生み出される衝撃の余波は少なく、むしろ静謐な戦いへと移行いこうしていた。
(出典:雨木シュウスケ『鋼殻のレギオス12 ブラック・アラベスク』)
・その後も様々な作品を通じて、私たちを静謐な世界へと導いてくれている。
(出典:小川洋子,藤原正彦『世にも美しい数学入門』)
・神社がある場所に似た静謐な空気が、豪雨と雫の音のなかにも感じられた。
(出典:富野由悠季『オーラバトラー戦記 6 軟着陸』)
・死の静謐にみちびかれた清五郎は、いかにも安らかな死顔になっていた。
(出典:池波正太郎『秘密』)
類語
・清らか(きよらか)
意味:けがれなく澄みきって美しいさま。清純なさま。(出典:デジタル大辞泉)
・静か(しずか)
意味:落ち着いているさま。気持ちに動揺や乱れがないさま。穏やか。(出典:デジタル大辞泉)
・清浄(せいじょう)
意味:清らかで、けがれのないこと。清潔なこと。また、そのさま。しょうじょう。(出典:デジタル大辞泉)
・穏やか(おだやか)
意味:気持ちが落ち着いていて物静かなさま。(出典:デジタル大辞泉)