述懐
「しみじみと述懐する」などのように使う「述懐」という言葉。
「述懐」は、音読みで「じゅっかい」と読みます。
「述懐」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「述懐」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
述懐の意味
「述懐」には次の二つの意味があります。
1 心中の思いを述べること。意中を述べること。
2 ぐち、不平、不満を洩らすこと。うらみを言うこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
述懐の意味①「心中の思いを述べること。意中を述べること。」
「述懐」の一つ目の意味は「心中の思いを述べること。意中を述べること。」です。
この意味では、自分の心に思っていることなどを話すときに使われます。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・それから三日間の俺の心境を述懐するのはあまり気の進む作業ではない。
(出典:米澤穂信『古典部シリーズ2 愚者のエンドロール』)
・そしてこれほど自分が他者に隷属したことはなかったと述懐するのである。
(出典:中山元『フーコー入門』)
・この述懐は、おそらく彼の実人生を支えている哲学を物語ったものであろう。
(出典:草柳大蔵『実力者の条件 この人たちのエッセンス』)
・開業したときまだ六歳だった山本直光は、当時のことをこう述懐する。
(出典:宮原安春『軽井沢物語』)
類語
・陳ずる(ちんずる)
意味:言葉で述べる。(出典:デジタル大辞泉)
・口述(こうじゅつ)
意味:口頭で述べること。(出典:デジタル大辞泉)
・語る(かたる)
意味:ある事実がある意味・真実・事情などをおのずから示す。(出典:デジタル大辞泉)
・口にする(くちにする)
意味:言葉に出して言う。(出典:デジタル大辞泉)
述懐の意味②「ぐち、不平、不満を洩らすこと。うらみを言うこと。」
「述懐」の二つ目の意味は「ぐち、不平、不満を洩らすこと。うらみを言うこと。」です。
この意味では、愚痴や不満などのネガティブな話をするときに使われます。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・心に皮肉も欲してゐたが、述懐は彼の偽らぬ素直な心のひとつであつた。
(出典:坂口安吾『吹雪物語』)
・市蔵はしばらくして自分はなぜこう人に嫌われるんだろうと突然意外な述懐をした。
(出典:夏目漱石『彼岸過迄』)
・あれがあいつの悪い癖、惜しいものだ、と御述懐。
(出典:太宰治『斜陽』)
・それだけは残念でならないと、今でも述懐している。
(出典:小堺昭三『カメラマンたちの昭和史』)
類語
・愚痴(ぐち)
意味:言ってもしかたのないことを言って嘆くこと。(出典:デジタル大辞泉)
・不平(ふへい)
意味:納得できず不満であること。(出典:デジタル大辞泉)
・恨み言(うらみごと)
意味:恨みを述べる言葉。(出典:デジタル大辞泉)
・不満(ふまん)
意味:もの足りなく、満足しないこと。(出典:デジタル大辞泉)