辟易
「心底辟易した」などのように使う「辟易」という言葉。
「辟易」は、音読みで「へきえき」と読みます。
「辟易」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「辟易」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
辟易の意味
「辟易」には次の二つの意味があります。
1 ひどく迷惑して、うんざりすること。嫌気がさすこと。閉口すること。
2 相手の勢いに圧倒されてしりごみすること。たじろぐこと。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
辟易の意味①「ひどく迷惑して、うんざりすること。嫌気がさすこと。閉口すること。」
「辟易」の一つ目の意味は「ひどく迷惑して、うんざりすること。嫌気がさすこと。閉口すること。」です。
「心底辟易した」で「心の底から嫌になった」という意味になります。
「辟易」は、中国の歴史書『史記』で使われていた表現で、避けて道を変えるという意味が元になっています。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・関東大会の県予選というのは、とにかく参加者が多くて辟易する。
(出典:誉田哲也『武士道セブンティーン』)
・だが、それよりも私が辟易したのはあの女中が話してくれた部屋の臭気だった。
(出典:遠藤周作『月光のドミナ』)
・ぼくはそれほど雷嫌ぎらいじゃありませんが、あのときの雷だけは辟易しました。
(出典:横溝正史『金田一耕助ファイル19 悪霊島 下』)
・十分、二十分、三十分も続いて、そろそろ辟易したころまた電話があった。
(出典:新田次郎『昭和新山』)
類語
・煙たい(けむたい)
意味:窮屈に感じられ、親しみが持てないさま。(出典:デジタル大辞泉)
・うっとうしい
意味:じゃまでわずらわしい。(出典:大辞林 第三版)
・迷惑がる(めいわくがる)
意味:自分にとって不利益、負担になることをきらっていやがる。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・不快(ふかい)
意味:いやな気持ちになること。(出典:デジタル大辞泉)
辟易の意味②「相手の勢いに圧倒されてしりごみすること。たじろぐこと。」
「辟易」の二つ目の意味は「相手の勢いに圧倒されてしりごみすること。たじろぐこと。」です。
元々はこちらの意味で使われていましたが、最近は派生した意味①「ひどく迷惑して、うんざりすること。嫌気がさすこと。閉口すること。」で使われるほうが一般的です。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・暴徒らは不意を打たれたがなお辟易せず、再び隊伍を整えていた。
(出典:ユゴー・ヴィクトル『レ・ミゼラブル』)
・ポルトス、もしおれたちがフランスに帰りたいなら、何もこんな海に辟易することはあるまい?
(出典:アレクサンドル・デュマ/石川登志夫訳『鉄仮面(下)』)
・坊はそのくらいのことで辟易するわけがない。
(出典:夏目漱石『吾輩は猫である』)
・いきなり熱烈に口説かれ、光國はちょっと辟易しつつ、丁寧に頭を下げた。
(出典:冲方丁『光圀伝』)
類語
・尻込み(しりごみ)
意味:気後れしてためらうこと。(出典:デジタル大辞泉)
・後退る(あとずさる)
意味:驚きや恐れなどのために、前を向いたままうしろへさがる。(出典:デジタル大辞泉)
・怯む(ひるむ)
意味:気持ちがくじける。(出典:大辞林 第三版)
・たじろぐ
意味:圧倒されて、ひるむ。(出典:大辞林 第三版)