貴賤
「職業に貴賤なし」などのように使う「貴賤」という言葉。
「貴賤」は、音読みで「きせん」と読みます。
「貴賤」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「貴賤」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
貴賤の意味
「貴賤」には次の意味があります。
・貴いことと、卑しいこと。また、身分の高い人と低い人。(出典:デジタル大辞泉)
地位や身分が高いことと低いこと、高貴と下賤を意味します。
否定の言葉を伴って、「身分の高い低いに関わらず、みんな」というような用いられ方をします。
小説などでの具体的な使い方・例文は下記の通り。
使い方・例文
・食事は毎日のことだから、貴賤に限らずその心得がなくてはならない。
(出典:菊池寛『小田原陣』)
・所謂器の貴賤、用の上下というものに、けじめをつけた訳なのであろう。
(出典:北大路魯山人『古器観道楽』)
・ゆったりとした空間に、貴賤を問わず人々は思い思いの世界に入っていた。
(出典:服部まゆみ『一八八八 切り裂きジャック』)
・文永役のときもそうだが、貴賤を問わず都人には戦いの実感は薄かった。
(出典:杉本苑子『新とはずがたり』)
・世界の全ての現象に貴賤はありますが、恋慕の情に限りそれはございません。
(出典:嶽本野ばら『それいぬ 正しい乙女になるために』)
・およそ気骨のある人に遇えば、貴賤の別なく誰とでも交わりを結んだ。
(出典:施耐庵/駒田信二訳『水滸伝(八)』)
・長は職業に貴賤の差別をつけず、能力ある者は惜しみなく抜擢した。
(出典:新田次郎『武田勝頼(二)』)
・職業に貴賤はないが、職業に人気、不人気はあると、どこかに書いてあった。
(出典:灰谷健次郎『アメリカ嫌い』)