行者
「白装束の行者」などのように使う「行者」という言葉。
「行者」は、音読みで「ぎょうじゃ」または「あんざ」と読みます。「あんじゃ」と読む場合もあります。
「行者」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「行者」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
行者の意味
「行者」には次の意味があります。
・宗教の修行者。元来仏典の言葉で念仏行者、法華行者、真言行者などという。(出典:百科事典マイペディア)
簡単に言い換えると、仏道の修行をする人のことです。
日本では特に山伏(やまぶし)、すなわち修験道(しゅげんどう)の行者をさし、白衣姿などの行装で霊地を巡拝する者を言います。
「あんじゃ」と読む場合は、禅宗で、まだ得度(とくど)しないで、寺の諸役に給仕する者のことを指します。
小説などでの具体的な使い方・例文は下記の通り。
使い方・例文
・わたしはあの行者たちが最初の登山をした人たちかとばかり思っていた。
(出典:島崎藤村『夜明け前』)
・簡単に本能に負けるような動物と一族の行者を一緒にされては困ります。
(出典:茅田砂胡『デルフィニア戦記 第6巻 「獅子の胎動」』)
・何んだか山師のようでもあるが、また真箇(ほんとう)に真言の行者のようでもある。
(出典:田中貢太郎『仙術修業』)
・その鬼のような表情にも、行者は、それがどうしたと、びくともしない。
(出典:岩本隆雄『イーシャの舟』)
・そして表面は法華の行者となって、術を行なうと不思議なほど当たった。
(出典:柳田国男『遠野物語 付・遠野物語拾遺』)
・幸いとその村の近くの町に、狐つきを落としたりなんかする行者がいました。
(出典:豊島与志雄『正覚坊』)
・しかし、行者というものは、あんまり見ていて気持のよいしろものではない。
(出典:小田実『何でも見てやろう』)
・内にいたのは、年ごろ三十四、五の、眉秀(まゆひい)でた一人の法華行者であった。
(出典:吉川英治『私本太平記』)