茫漠
「茫漠とした話」などのように使う「茫漠」という言葉。
「茫漠」は、音読みで「ぼうばく」と読みます。
「茫漠」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「茫漠」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
茫漠の意味
「茫漠」には次の二つの意味があります。
1 広々としてとりとめのないさま。
2 はっきりしないさま。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
茫漠の意味①「広々としてとりとめのないさま。」
「茫漠」の一つ目の意味は「広々としてとりとめのないさま。」です。
わかりやすく言うと「ただ広くて掴みどころがない」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・茫漠とした海の男への繋つながりをいかにもはっきりと娘は自分の心に感じた。
(出典:岡本かの子『河明り』)
・底の方の色よりも、さらに深くて遠い、茫漠たる世界が展ひろがっていた。
(出典:竹本健治『匣の中の失楽』)
・ただひたすら、何もない、茫漠と広がる無限の闇の中を泳いでいたのだ。
(出典:小池真理子『天の刻(とき)』)
・茫漠とした地形で基準になるものがないから、自分が立っている位置がわからない。
(出典:五味川純平『ノモンハン(上)』)
類語
・闊大(かつだい)
意味:広く大きいさま。(出典:デジタル大辞泉)
・広漠(こうばく)
意味:広々としてはてしないさま。(出典:デジタル大辞泉)
・無限(むげん)
意味:数量や程度に限度がないこと。(出典:デジタル大辞泉)
・広大無辺(こうだいむへん)
意味:果てしなく広くて大きいこと。(出典:デジタル大辞泉)
茫漠の意味②「はっきりしないさま。」
「茫漠」の二つ目の意味は「はっきりしないさま。」です。
わかりやすく言うと「ぼんやりとしていて不明確」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・その唇には、モナ・リザよりもいっそう茫漠とした微笑が浮かんでいた。
(出典:クラーク『楽園の泉』)
・あれはもう、茫漠とした夢の領域からはみだしてしまった鮮烈さだった。
(出典:藤堂志津子『熟れてゆく夏』)
・そうする事によってこのドラマの行く手の運命の茫漠ぼうばくたる事を暗示している。
(出典:寺田寅彦『映画雑感(I)』)
・記者の質問に答えていた時の寛の茫漠ぼうばくとした表情が想像出来る。
(出典:平岩弓枝『黒い扇』)
類語
・不分明(ふぶんめい)
意味:明らかでないさま。(出典:実用日本語表現辞典)
・曖昧(あいまい)
意味:態度や物事がはっきりしないこと(出典:デジタル大辞泉)
・幽か(かすか)
意味:やっと感じ取れる程度であるさま。(出典:デジタル大辞泉)