花盛り
「ちょうど花盛りだった」などのように使う「花盛り」という言葉。
「花盛り」は、訓読みで「はなざかり」と読みます。
「花盛り」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「花盛り」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
花盛りの意味
「花盛り」には次の三つの意味があります。
1 花が咲きそろっていること。また、その季節。
2 女性の最も美しい年ごろ。
3 物事が非常に盛んであること。また、その時期。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
花盛りの意味①「花が咲きそろっていること。また、その季節。」
「花盛り」の一つ目の意味は「花が咲きそろっていること。また、その季節。」です。
全ての花に対して用いられる表現ではありますが、特に桜の花を指して用いられることが多いです。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・私のへやはいろいろの花ざかり、そしていろいろの食事の物で一っぱい。
(出典:吉本明光『お蝶夫人』)
・然し、この幸福な日に、あの森の花ざかりの下が何ほどのものでしょうか。
(出典:坂口安吾『桜の森の満開の下』)
・目の前がぱあっと明るくなった気がしたほど、一面の花盛りだった。
(出典:上橋菜穂子『獣の奏者 IV 完結編』)
類語
・百花繚乱(ひゃっかりょうらん)
意味:いろいろの花が咲き乱れること。(出典:デジタル大辞泉)
・咲き誇る(さきほこる)
意味:今を盛りと美しく咲く。(出典:デジタル大辞泉)
・満開(まんかい)
意味:花が十分に開くこと。また、すべての花が開くこと。(出典:デジタル大辞泉)
花盛りの意味②「女性の最も美しい年ごろ。」
「花盛り」の二つ目の意味は「女性の最も美しい年ごろ。」です。
女性の美しさを、綺麗な花に例えたことで生まれた表現だと言えます。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・あなたはいまが花盛りなんですよ、まったく、咲き誇っているところです。
(出典:ドストエフスキー/北垣信行訳『貧しき人びと』)
・一方の閻婆惜は浮気っぽいたちであるうえに、年は十八九の花盛りである。
(出典:施耐庵/駒田信二訳『水滸伝(二)』)
・陰気な教区内でも、四人の娘達は段々人生の花盛りに向って来ました。
(出典:宮本百合子『「母の膝の上に」(紹介並短評)』)
類語
・若盛り(わかざかり)
意味:年が若くて血気の盛んなこと。若くて容姿の美しいこと。また、その年ごろ。(出典:デジタル大辞泉)
・うら若い(うらわかい)
意味:若くういういしい。多く、女性の若く可憐なさまをいう。(出典:デジタル大辞泉)
・妙齢(みょうれい)
意味:若い年ごろ。特に、女性の若い年ごろ。(出典:デジタル大辞泉)
花盛りの意味③「物事が非常に盛んであること。また、その時期。」
「花盛り」の三つ目の意味は「物事が非常に盛んであること。また、その時期。」です。
物事を花に例えたことで生まれた表現です。なお、「盛り」という言葉には「物事の勢いが頂点に達していること」という意味があります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・世間は花盛りだといわれても、信じられないくらい、牢の中はさむかった。
(出典:山田風太郎『おんな牢秘抄』)
・なあに、今は女性上位時代といって、離婚も花盛りじゃありませんか。
(出典:南里征典『成城官能夫人』)
・日本国中どこに行っても、まさにグルメ花盛りの時代である。
(出典:阿辻哲次『漢字のなりたち物語』)
類語
・ブーム(ぶーむ)
意味:あることがにわかに人気を呼んで、一時的に非常な勢いで流行すること。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・一世を風靡する(いっせいをふうびする)
意味:その時代の人々がことごとく受け入れ従うようにする。ある時代に圧倒的に流行する。(出典:デジタル大辞泉)
・流行る(はやる)
意味:好機にめぐりあって栄える。時めく。(出典:デジタル大辞泉)