稽古
「稽古を積む」などのように使う「稽古」という言葉。
「稽古」は、音読みで「けいこ」と読みます。
「稽古」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「稽古」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
稽古の意味
「稽古」には次の三つの意味があります。
1 芸能・武術・技術などを習うこと。また、練習。
2 芝居などで、本番前の練習。下げいこ。リハーサル。
3 昔の書を読んで物の道理や故実を学ぶこと。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
稽古の意味①「芸能・武術・技術などを習うこと。また、練習。」
「稽古」の一つ目の意味は「芸能・武術・技術などを習うこと。また、練習。」です。
能力や技術の向上のために、繰り返し行って習得することです。
「練習」と同義で互いに言い換えることができますが、「稽古」のほうがやや古風な言い方で、日本の伝統的な技法や技術について用いられる場合が多いです。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・一同毎日丸山の伊沢の家に集つて熱心に稽古をした。
(出典:森鴎外『伊沢蘭軒』)
・夏になると朝習いというのが始まるので、非常に朝早く起きて稽古に行ったものです。
(出典:幸田露伴『少年時代』)
・昼の間、久馬は近所の子供たち相手に書道と剣術の稽古をつける。
(出典:菊地秀行『幽剣抄』)
類語
・練習(れんしゅう)
意味:技能・学問などが上達するように繰り返して習うこと。(出典:デジタル大辞泉)
・訓練(くんれん)
意味:あることを教え、継続的に練習させ、体得させること。(出典:デジタル大辞泉)
・修行(しゅぎょう・しゅうぎょう)
意味:学術・技芸などを学んで身につけること。(出典:デジタル大辞泉)
稽古の意味②「芝居などで、本番前の練習。下げいこ。リハーサル。」
「稽古」の二つ目の意味は「芝居などで、本番前の練習。下げいこ。リハーサル。」です。
①と同じ練習という意味ですが、①と異なっているのは、この場合は習得した技術を披露する場や機会、つまりは本番が設定されていて、それに向かって練習をすることです。
言い換えると、本番で失敗しないように、本番でやることを事前に練習することです。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・この幕だけ明日の朝に稽古すればいいと、主張する者もあった。
(出典:織田作之助『夜の構図』)
・朝、本来なら今日で大阪千秋楽の、明日から東京で稽古だな、と思ふ。
(出典:古川緑波『古川ロッパ昭和日記』)
・譬へてみれば、或る事情で稽古が充分出来なかつたとする。
(出典:岸田国士『用捨なき観客』)
類語
・リハーサル(rehearsal)
意味:演劇・音楽・放送などで、本番前に行うけいこ。予行演習(出典:デジタル大辞泉)
・下慣らし(したならし)
意味:あらかじめならしておくこと。(出典:デジタル大辞泉)
・御浚い・御復習い(おさらい)
意味:教わったことを繰り返し確かめたり練習したりすること。復習。(出典:デジタル大辞泉)
稽古の意味③「昔の書を読んで物の道理や故実を学ぶこと。学問。」
「稽古」の三つ目の意味は「昔の書を読んで物の道理や故実を学ぶこと。学問。」です。
①②と同じく習うことではありますが、この場合は、ある問題を学び理解するために頭を使って学ぶことを意味します。
特に、書物によって学ぶことを言います。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・伸子は語学の稽古や芝居へゆく予定のほかに先約らしいものもなかった。
(出典:宮本百合子『道標』)
・まるで書物で日本語を稽古した外国人のような感を、与えずしてやまぬではあるまいか。
(出典:柳田国男『雪国の春』)
・わしは今迄顕密の学問に稽古を努めたけれどもこれはまあ名利の為といってもよろしい。
(出典:中里介山『法然行伝』)
類語
・学修(がくしゅう)
意味:学問をまなび身につけること。修学。(出典:デジタル大辞泉)
・修学(しゅがく)
意味:学問をおさめること。学んで知識を得ること。(出典:デジタル大辞泉)
・修文(しゅうぶん)
意味:学問や芸術を身につけること。(出典:デジタル大辞泉)