移ろい
「季節の移ろい」などのように使う「移ろい」という言葉。
「移ろい」は、訓読みで「うつろい」と読みます。
「移ろい」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「移ろい」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
移ろいの意味
「移ろい」には次の二つの意味があります。
1 移り変わること。
2 物事の状態が盛りを過ぎること。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
移ろいの意味①「移り変わること。」
「移ろい」の一つ目の意味は「移り変わること。」です。
物事や感情など、様々なものが変化していく様子を表しています。感情で使われるときは、考えが浮かんでは消えるを繰り返す意味でも使われています。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・日々の移ろいの中で自分の身体が少しずつ透明になっていく感触がある。
(出典:村上春樹『1Q84 BOOK3』)
・人にとっては長すぎる自然の移ろいも、彼らにとっては速すぎるのかもしれない。
(出典:支倉凍砂『狼と香辛料XII』)
・時間がない、というのは、景色の移ろいが速すぎるという意味なのか。
(出典:支倉凍砂『狼と香辛料XII』)
・季節の移ろいまでスコットランドのハイランド地方と似ているように思われた。
(出典:川又一英『ヒゲのウヰスキー誕生す』)
類語
・変遷(へんせん)
意味:時の流れとともにうつりかわること。うつりかわり。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・流転(るてん)
意味:移り変わってやむことがないこと。(出典:デジタル大辞泉)
・移行(いこう)
意味:ある状態から他の状態へ移っていくこと。(出典:デジタル大辞泉)
・遷移(せんい)
意味:うつりかわること。うつりかわり。(出典:精選版 日本国語大辞典)
移ろいの意味②「 物事の状態が盛りを過ぎること。」
「移ろい」の二つ目の意味は「 物事の状態が盛りを過ぎること。」です。
ピークが過ぎ去ったときに使われます。古語での移ろふもほとんど同じであり、衰えるや変わり果てるといった意味で用いられています。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・流麗が持つのは躍動やくどうする美のように移うつろいやすい類たぐいのものではなかった。
(出典:ろくごまるに『封仙娘娘追宝録8 刃を砕く復讐者(上)』)
・父がなかなか自分の家を建てなかったのは、人生の移ろいに圧倒されて、踏ん切りがつかなかったのかも。
(出典:平安寿子『くうねるところすむところ』)
・これは、将来、お互いの愛が移ろい始めたときに、大きな悔いを残すことにもなるんです。
(出典:田中康夫『恋愛自由自在』)
・また、こしょうの香気は移ろいやすいので、一度粉に挽くと、急激に風味を失ってしまいます。
(出典:平野雅章『熱いが御馳走 食物ことわざ事典II』)
類語
・峠を越す(とうげをこす)
意味: 勢いのもっとも盛んな時期を過ぎて、衰えはじめる。また、もっとも重要な時期を過ぎて、先の見通しがきくようになる。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・凋落(ちょうらく)
意味:容色などが衰えること。(出典:デジタル大辞泉)
・衰勢(すいせい)
意味:衰えた勢い。勢いの衰えたようす。(出典:デジタル大辞泉)
・下火(したび)
意味:物事の勢いが弱くなること。(出典:精選版 日本国語大辞典 )