百鬼夜行
「百鬼夜行の業界」などのように使う「百鬼夜行」という言葉。
「百鬼夜行」は、音読みで「ひゃっきやこう」と読みます。
「百鬼夜行」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「百鬼夜行」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
百鬼夜行の意味
「百鬼夜行」には次の二つの意味があります。
1 妖怪が列をなして、夜中に歩くこと。中古から中世の迷信。夜行(やぎよう)。
2 得体の知れない者たちが我が物顔に振る舞うこと。(出典:大辞林 第三版)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
百鬼夜行の意味①「妖怪が列をなして、夜中に歩くこと。中古から中世の迷信。夜行(やぎよう)。」
「百鬼夜行」の一つ目の意味は「妖怪が列をなして、夜中に歩くこと。中古から中世の迷信。夜行(やぎよう)。」です。
平安時代から様々な書物で言い伝えられている、夜中に出没する妖怪たちの行列のことです。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・部屋一杯の大きさを持ち黄金の額縁で飾られた百鬼夜行の絵であった。
(出典:国枝史郎『大鵬のゆくえ』)
・みんなまだ扮装のままなので、ちょっと百鬼夜行というかっこうだった。
(出典:横溝正史『魔女の暦』)
・一般的に付喪神というときみのいった化け傘や下駄、釜などの日用品が化けたものを想像する。 おそらく百鬼夜行のイメージに重ねているのだと思う。
(出典:浜崎達也『絶対少年 ~神隠しの秋~穴森 携帯版小説 第07章』)
・辰の日といえば百鬼夜行日なのに、鬼よりも恐ろしい者どもが出歩くようになりました。
(出典:福永武彦『風のかたみ』)
類語
・妖怪変化(ようかいへんげ)
意味:人知を超えた不思議な化け物。(出典:大辞林 第三版)
・魑魅魍魎(ちみもうりょう)
意味:いろいろな化け物。(出典:デジタル大辞泉)
・亡者(もうじゃ)
意味:死んだ人。特に、まだ成仏せずに迷っている魂。(出典:大辞林 第三版)
・幽鬼(ゆうき)
意味:ばけもの。おばけ。(出典:大辞林 第三版)
百鬼夜行の意味②「得体の知れない者たちが我が物顔に振る舞うこと。」
「百鬼夜行」の二つ目の意味は「得体の知れない者たちが我が物顔に振る舞うこと。」です。
悪人や得体のしれない怪しい人々が堂々と奇怪な行動をしたり悪事を働いたりすること、というような意味です。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・春には百鬼夜行の夜の街を、もみくちゃにされながら歩き抜いた。
(出典:森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』)
・百鬼夜行の大陸で、本田の名前は各国スパイに恐れられていたそうである。
(出典:森村誠一『腐蝕の構造』)
・理詰めのドイツ人も酔っぱらえばたわいのない百鬼夜行ぶりを発揮する。
(出典:高田誠二『単位の進化』)
・ようやく異国風の町は出来たものの、そこに住む人間はまさに百鬼夜行という怪異な時代の銀座であったのだ。
(出典:山田風太郎『警視庁草紙(上)』)
類語
・跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)
意味:悪人など好ましくない者がわがもの顔にのさばりはびこること。(出典:大辞林 第三版)
・跳梁(ちょうりょう)
意味:反徒悪人などが勢力を伸ばし、好き放題なふるまいをすること。 (出典:大辞林 第三版)
・跋扈(ばっこ)
意味:わがもの顔に振る舞うこと。のさばりはびこること。(出典:大辞林 第三版)
・横行(おうこう)
意味:悪事がしきりに行われること。(出典:デジタル大辞泉)