疼く
「虫歯が疼く」などのように使う「疼く」という言葉。
「疼く」は、訓読みで「うずく」と読みます。
「疼く」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「疼く」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
疼くの意味
「疼く」には次の二つの意味があります。
1傷口などが脈打つように痛む。ずきずき痛む。
2心に強い痛みを感じる。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
疼くの意味①「傷口などが脈打つように痛む。ずきずき痛む。」
「疼く」の一つ目の意味は「傷口などが脈打つように痛む。ずきずき痛む。」です。
怪我や傷など、身体の痛みを表した言葉です。しつこい痛みを表します。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・からだの境界があいまいになり、心臓の疼きだけが意識を支配していく。
(出典:九里史生『SAO-Web-外伝3 ココロの温度』)
・駆け回っているあいだは気づかずにいたあちこちの打ち身も疼き始めた。
(出典:宮部みゆき『ICO -霧の城』)
・まだ傷が疼くのだろうが、顔にも口にも当然そんな素振りは見せない。
(出典:福井晴敏『川の深さは』)
・力を入れるたびに足は砂にめり込み、肩や腰や膝が疼くように痛んだ。
(出典:大石圭『自由殺人』)
・疼きは海岸に次々に寄せる穏やかな波のように、やってきては去っていった。
(出典:村上春樹『1Q84 BOOK3』)
疼くの意味②「心に強い痛みを感じる。」
「疼く」の二つ目の意味は「心に強い痛みを感じる。」です。
身体の痛みを表すような感情のことです。心や気持ちが損なわれたときの痛みの表現です。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・女の声を聞いた時、ラインハルトは胸のあたりがかすかに疼いたからだ。
(出典:シュトルム/高橋義孝訳『みずうみ』)
・次第に彼は少年の頃の憧憬に胸を締めつけられるやうな疼きをおぼえた。
(出典:原民喜『火の踵』)
・胸の底に、かすかに疼くような痛みを感じるのも初めてのことである。
(出典:古川薫『花冠の志士小説久坂玄瑞』)
・彼はその事を考えたとき何故か疼くような快感を苦痛と一緒に感じていた。
(出典:梅崎春生『日の果て』)
・だが父も母も青春のころ味わったにちがいない熱い恋の疼きを忘れている。
(出典:森村誠一『ミッドウェイ』)