物憂い
「物憂げな様子」などのように使う「物憂い」という言葉。
「物憂い」は、訓読みで「ものうい」と読みます。
「物憂い」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「物憂い」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
物憂いの意味
「物憂い」には次の意味があります。
・なんとなく心が晴れ晴れしない。だるくておっくうである。(出典:デジタル大辞泉)
気分が重たい、憂鬱な状態であるときに使われます。物はなんとなくで憂いは苦しいや辛い、嘆き悲しむといった意味から成り立っています。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・その顔から笑みはすでに消えていて、物憂く眠た気な表情が戻っている。
(出典:篠田節子『ハルモニア』)
・そしていつもとはちがう物憂いような声で、文四郎さんなのねと言った。
(出典:藤沢周平『蝉しぐれ』)
・冬が起き上ったような物憂い寒々した腰つきが、川原一杯に感じられた。
(出典:室生犀星『童話』)
・そしてそのまま物憂げに伸びをして、じつに退屈そうに大あくびをした。
(出典:桜庭一樹『GOSICKs 第2巻』)
・彼女はただ物憂げに、尊大に、命令を下しさえすればよいわけだった。
(出典:澁澤龍彦『世界悪女物語』)
類語
・弛い(たゆい)
意味:疲れて力が出ない。だるい。(出典:デジタル大辞泉)
・気怠い(けだるい)
意味:なんとなくだるい。(出典:デジタル大辞泉)
・不活発(ふかっぱつ)
意味:活気や勢いがないこと。動きがにぶいこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・怠い(だるい)
意味:疲れや病気などで、からだを動かすのがおっくうである。かったるい。(出典:デジタル大辞泉)
・億劫(おっくう)
意味:わずらわしくて気が進まないさま。めんどうくさいこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)