無残
「無残な最期」などのように使う「無残」という言葉。
「無残」は、音読みで「むざん」と読みます。
「無残」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「無残」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
無残の意味
「無残」には次の二つの意味があります。
1残酷なこと。乱暴なこと。また、そのさま。
2いたましいこと。あわれなこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
無残の意味①「残酷なこと。乱暴なこと。また、そのさま。」
「無残」の一つ目の意味は「残酷なこと。乱暴なこと。また、そのさま。」です。
他に、無慙・無慚・無惨という表記もあります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・こには一人の若い女が、見るも無残な殺されかたをして横っていた。
(出典:平林初之輔『山吹町の殺人』)
・ 知らせを聞いて急行しても、燃える小屋や無残な殺戮の跡があるだけだ。
(出典:バークレー『愛のサマーヴィル1 夢見た騎士』)
・それに、あの少女を無残なやり方で殺したのも、彼女であるはずはない。
(出典:赤川次郎『晴れ、ときどき殺人』)
・ 私を待っていたのは、無残にも、そのような運命でしかなかったのだ。
(出典:シュリーマン/立川洋三訳『先史時代への情熱』)
類語
・残忍(ざんにん)
意味:無慈悲なことを平気ですること。(出典:デジタル大辞泉)
・凶悪(きょうあく)
意味:性質が残忍で、ひどい行為をすること。(出典:デジタル大辞泉)
・殺伐(さつばつ)
意味:穏やかさやあたたかみの感じられないさま。とげとげしいさま。 (出典:大辞林 第三版)
・残虐(ざんぎゃく)
意味:人や動物に対し、無慈悲で残酷な・こと(さま)。(出典:大辞林 第三版)
無残の意味②「いたましいこと。あわれなこと。また、そのさま。」
「無残」の二つ目の意味は「いたましいこと。あわれなこと。また、そのさま。」です。
つまり、かわいそうで同情してしまう心理を表しています。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・豊助の知らせで駈けつけたときの、父親の無残な死体を思い出していた。
(出典:藤沢周平『隠し剣孤影抄』)
・ そんなゆとりさえない無残な死におそわれたものが多かったはずである。
(出典:田中澄江『花の百名山』)
・ ところが、そこに見たのは、主人に抱えられた美津子の無残な姿でした。
(出典:三浦綾子『病めるときも』)
・ こうして汚れた西瓜の無残な形骸が処々の草の中に発見されるのである。
(出典:長塚節『太十と其犬』)
類語
・憐れ(あわれ)
意味:同情しないではいられない・こと(さま)。(出典:大辞林 第三版)
・痛ましい(いたましい)
意味:見ていられないほどにかわいそうだ。痛々しい。(出典:大辞林 第三版)
・不憫(ふびん)
意味:かわいそうなこと。気の毒なこと。(出典:大辞林 第三版)
・気の毒(きのどく)
意味:他人の不幸や苦痛などに同情して心を痛めること。(出典:デジタル大辞泉)