無垢
「無垢な瞳」などのように使う「無垢」という言葉。
「無垢」は、音読みで「むく」と読みます。
「無垢」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「無垢」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
無垢の意味
「無垢」には次の二つの意味があります。
1 けがれがなく純真なこと。
2 和服で、表裏同色の無地の共布で仕立てた長着。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
無垢の意味①「けがれがなく純真なこと。」
「無垢」の一つ目の意味は「けがれがなく純真なこと。」です。
もともとは仏教用語であり、煩悩のけがれがなく、清らかなことを意味します。
また、金や銀にまじりけがないことを指すこともあります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・無垢な少女の視線には、私のような人間を射殺すだけの、毒がある。
(出典:京極夏彦『魍魎の匣』)
・薔薇の木のてっぺんには、無垢の乙女の色をした薔薇の花が咲いている。
(出典:ルナール・ジュール『博物誌』)
・ひたすら純粋かつ無垢な視線を竜児に向けて、大河は小首を傾げている。
(出典:竹宮ゆゆこ『とらドラ・スピンオフ3! 俺の弁当を見てくれ』)
・うち明けると、紘子の自分に対する無垢な憧憬が汚されると信じていた。
(出典:坂東眞砂子『夢の封印』)
類語
・うぶ
意味:世間ずれがしていないこと。ういういしいこと。(出典:デジタル大辞泉)
・純真(じゅんしん)
意味:まじりけのないこと。けがれのないこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・ピュア(pure)
意味:まじりけのないさま。純粋。また、けがれがないさま。純潔。(出典:デジタル大辞泉)
・清白(せいはく)
意味:汚れなく清らかなこと。きよくいさぎよいこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)
無垢の意味②「和服で、表裏同色の無地の共布で仕立てた長着。」
「無垢」の二つ目の意味は「和服で、表裏同色の無地の共布で仕立てた長着。」です。
白無垢は婚礼衣装に、色無垢は略礼装に用いられます。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・既に覚悟を決めていた玉子は、白無垢を下に着、懐剣を胸に秘めていた。
(出典:三浦綾子『細川ガラシャ夫人』)
・白無垢姿になって、立ちあがったとき、頭のあまりの重さに目眩がした。
(出典:桜庭一樹『私の男』)
・その羽二重の白無垢を、私は前に一度も聞いたこともなければ見たこともなかった。
(出典:豊島与志雄『窓にさす影』)
・順造も娘の白無垢を仕立てるのを楽しみにしているようだった。
(出典:山本一力『損料屋喜八郎始末控え』)
類語
・白装束(しろしょうぞく)
意味:上下ともに白い衣服。また、それを着ること。多く神事や凶事のときに用いる。(出典:デジタル大辞泉)
・経帷子(きょうかたびら)
意味: 仏教の葬式で、死者に着せる衣。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・単物(ひとえもの)
意味:裏をつけずに仕立てた和服類の総称。特に、裏をつけない長着。(出典:デジタル大辞泉)