烏滸がましい
「こんなことを言うのは烏滸がましいのですが」などのように使う「烏滸がましい」という言葉。
「烏滸がましい」は、音読みで「おこがましい」と読みます。
「烏滸がましい」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「烏滸がましい」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
烏滸がましいの意味
「烏滸がましい」には次の二つの意味があります。
1 分不相応である。さしでがましい。出過ぎたことだ。
2 いかにもばかげている。全くばかばかしい。 (出典:大辞林 第三版)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
烏滸がましいの意味①「分不相応である。さしでがましい。出過ぎたことだ。」
「烏滸がましい」の一つ目の意味は「分不相応である。さしでがましい。出過ぎたことだ。」です。
「烏滸がましい」をわかりやすく言えば「身の程をわきまえずに、厚かましいこと」という意味です。
しょうせつなどでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・あまつさえ主あるじに対して説法するなど烏滸がましいにも程がある!
(出典:虚淵玄『Fate/Zero Vol.3 「散りゆく者たち」』)
・探偵小説作家なぞと呼ばれて返事を差出すのは、如何にも烏滸がましい気がして赤面します。
(出典:夢野久作『涙香・ポー・それから』)
・かういふ問題を解決する為めに、僕が「ゼンマイの戯れ」を書いたとすれば、誠に烏滸がましい話であるが、実はそんな大それた野心はなかつたのである。
(出典:岸田国士『「ゼンマイの戯れ」に就て』)
・同じ土俵で語ること自体が烏滸がましい。
(出典:西尾維新『花物語』)
類語
・厚かましい(あつかましい)
意味:行動や態度に慎みがない。ずうずうしく遠慮がない。(出典:デジタル大辞泉)
・恥知らず(はじしらず)
意味:恥ずべきことをして平気でいること。厚顔であること。また、その人や、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・身の程知らず(みのほどしらず)
意味:自分の身分や能力などの程度をわきまえないこと。また、そのさまや、その人。(出典:デジタル大辞泉)
・僭越(せんえつ)
意味:自分の地位や立場を越えて出過ぎたことをすること。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
烏滸がましいの意味②「いかにもばかげている。全くばかばかしい。」
「烏滸がましい」の二つ目の意味は「いかにもばかげている。全くばかばかしい。」です。
「烏滸がましい」のもともとの意味はこちらの「ばかばかしい」の方で、「(ばかばかしくて)恥だ、恥ずかしい」といった意味も含まれていることがあります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・今更、心構へなどと、いつて立つのも烏滸がましい。
(出典:吉川英治『折々の記』)
・然し東京附近で冬を云々するのは烏滸がましい。
(出典:徳冨蘆花『みみずのたはこと』)
・いや、推理というのは烏滸がましい。
(出典:都筑道夫『猫の舌に釘をうて』)
・問わず語りで烏滸がましいが。
(出典:夢野久作『ドグラ・マグラ』)
類語
・馬鹿馬鹿しい(ばかばかしい)
意味:無意味でくだらなく見えるさま。ばからしい。(出典:デジタル大辞泉)
・バカらしい
意味:愚かに思える。無意味だ。つまらない。ばかばかしい。(出典:大辞林 第三版)
・滑稽(こっけい)
意味:あまりにもばかばかしいこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・噴飯物(ふんぱんもの)
意味:もの笑いのたねになるような、みっともない事柄。(出典:デジタル大辞泉)