漫ろ
「漫ろな心で」などのように使う「漫ろ」という言葉。
「漫ろ」は、訓読みで「そぞろ」と読みます。
「漫ろ」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「漫ろ」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
漫ろの意味
「漫ろ」には主に次の二つの意味があります。
1これといった理由もなしにそうなったり、そうしたりするさま。なんとなく。
2心が落ち着かないさま。そわそわするさま。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
漫ろの意味①「これといった理由もなしにそうなったり、そうしたりするさま。なんとなく。」
「漫ろ」の一つ目の意味は「これといった理由もなしにそうなったり、そうしたりするさま。なんとなく。」です。
今行っている動作や所作に、特別の意識や理由がなく、ただ時間やこの場の雰囲気をやり過ごすことです。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・だから、そこらへんがわからないホロは気も漫ろに尻尾をいじっている。
(出典:支倉凍砂『狼と香辛料II (電撃文庫)』)
・午後十時をいくぶん過ぎていたが、涼を求める人たちがうちわを使いながら漫ろ歩いていた。
(出典:東山彰良『流』)
・われ此の川蒸氣にて隅田川を上下せしこと幾回なるを知らざるが、今瑞村と共とするにつれて、十年の昔の漫ろに偲ばるるかな。
(出典:大町桂月『月の隅田川』)
・口上がどうあれ、その歓待が口先だけなのは、漫ろな声音を聴けば敢えて察するまでもない。
(出典:虚淵玄『鬼哭街』)
・さしも潔き志を抱ける者にして、その酬らるる薄倖の彼の如く甚く酷なるを念ひて、貫一は漫ろ涙の沸く目を閉ぢたり。
(出典:尾崎紅葉『金色夜叉』)
漫ろの意味②「心が落ち着かないさま。そわそわするさま。」
「漫ろ」の二つ目の意味は「心が落ち着かないさま。そわそわするさま。」です。
今行っている動作や所作に意識が向かず、別の事が気になってしまうことです。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・様子を見に行きたくて気も漫ろな兵隊から計画どおり制服を奪い取る。
(出典:喬林知『今日からマ王 第3巻 「今夜はマのつく大脱走!」』)
・いつもの小兵衛に似合わず、今日は気も急くし、足の運びも漫ろなのである。
(出典:池波正太郎『剣客商売 9 待ち伏せ』)
・ 「永遠の被害者、具・上樽の生死が気になるんだよう」 あまりの怖さに気も漫ろ。
(出典:喬林知『今日からマ王 第11巻 「めざせマのつく海の果て!」』)
・他の女のことで気もそぞろな男に、それでも側に居て欲しかったのか?
(出典:森瑤子『ママの恋人』)
・「あらばあらば」と重ねた表現は作者のそぞろな状態をそのまま表わしているかの感がある。
(出典:與謝野晶子『みだれ髪・附みだれ髪拾遺』)