渦中
「騒動の渦中」などのように使う「渦中」という言葉。
「渦中」は、音読みで「かちゅう」と読みます。
「渦中」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「渦中」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
渦中の意味
「渦中」には次の二つの意味があります。
1 水のうずまく中。
2 ごたごたした事件の中。もめ事などの中心。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
渦中の意味①「水のうずまく中。」
「渦中」の一つ目の意味は「水のうずまく中。」です。
水などが回転して発生するらせん状の流れを「渦」や「渦巻」と言います。
「渦中」で「渦巻の中」という意味になります。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・渦中に飲み込まれた帆船をどうすることも出来ずただじっと眺めるだけだった。
・この小さな漁船で発生した渦中に巻き込まれては一溜りもないだろう。
類語
・火中(かちゅう)
意味:火のなか。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・水中(すいちゅう)
意味:水のなか。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・空中(くうちゅう)
意味:大空のうち。地面を高く離れた所。空のなか。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・道中(どうちゅう)
意味:道路のまん中。(出典:精選版 日本国語大辞典)
渦中の意味②「ごたごたした事件の中。もめ事などの中心。」
「渦中」の二つ目の意味は「ごたごたした事件の中。もめ事などの中心。」です。
物事が混乱している中のことを比喩的に「渦中」と言います。
また、「禍」は被害や損害を表すため、最近よく耳にするコロナ禍は「コロナの影響に伴った被害や損害」、コロナ渦中は「コロナによる混乱の中にいる状態」を指します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・八百長事件の渦中にいる人間の側にいることが楽しいという顔だった。
(出典:馳星周『夜光虫』)
・わけがわからないうちに、自分は、その渦中に巻き込まれているらしい。
(出典:貴志祐介『クリムゾンの迷宮』)
・もし相手が御所問題の渦中にいる人物なら、当然分かっていると思うわ。
(出典:高橋克彦『南朝迷路』)
・又かかる現象が智的生活の渦中に発見された場合には道徳的ではない。
(出典:有島武郎『惜みなく愛は奪う』)
類語
・カオス
意味:比喩的に、混沌として無秩序な状態もいう。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・中心人物(ちゅうしんじんぶつ)
意味:ある事を成すにあたって、その中心となる人物。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・どさくさ
意味:混雑していて騒々しいさま。取り込んでいる状態。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・卍巴(まんじともえ)
意味:卍や巴の模様のように、互いに追い合って入り乱れること。(出典:デジタル大辞泉)