波紋
「政治家の発言が波紋を呼ぶ」などのように使う「波紋」という言葉。
「波紋」は、音読みで「はもん」と読みます。
「波紋」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「波紋」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
波紋の意味
「波紋」には次の二つの意味があります。
1 水面に物の落ちたときなどに、いく重にも輪を描いて広がる波の模様。
2 次々と周囲に動揺を伝えていくような影響。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
波紋の意味①「水面に物の落ちたときなどに、いく重にも輪を描いて広がる波の模様。」
「波紋」の一つ目の意味は「水面に物の落ちたときなどに、いく重にも輪を描いて広がる波の模様。」です。
実際に目の前で起こる波模様を指す以外に、比喩としても使われます。
例文にある「心の波紋」とは、ある出来事の衝撃によって感情的な動揺を繰り返している、ということでしょう。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・目で追うと、目に見えるか見えないかの、波紋の中心に黒いものがある。
(出典:滝口康彦『猿ヶ辻風聞』)
・ぶつかった場所を中心に、波の波紋のようなものが周囲に向けて広がった。
(出典:児玉ヒロキ『イット』)
・だが日がたち心の波紋が鎮まってきた一日、ふっと気づいたことがあった。
(出典:鮎川哲也『朱の絶筆』)
・ある年、十二月も五日になってのことだが、水面にいくつか波紋が見えた。
(出典:ソロー/神原栄一訳『森の生活』)
類語
・軌跡(きせき)
意味:物体や粒子などの運動によってできる図形。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・文様(もんよう)
意味:調度・器物・衣服などの表面に装飾された図形。同じ図柄の反復繰り返しによって構成されるものをいうことが多い。(出典:デジタル大辞泉)
・地紋(じもん)
意味:織り方の組織や糸使いの変化によって織物の地に織り出した文様。特に、染めや刺繍などの生地の文様についていう。(出典:デジタル大辞泉)
・痕跡(こんせき)
意味:過去にある事物があったことを示す、あとかた。形跡。(出典:デジタル大辞泉)
波紋の意味②「次々と周囲に動揺を伝えていくような影響。」
「波紋」の二つ目の意味は「次々と周囲に動揺を伝えていくような影響。」です。
「波紋」にはそれを起こす石が欠かせませんが、この場合もその中心には、ある出来事や人物の発言・行動などがあります。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・そして水に落ちた一つの石のように、疑いの波紋がそこからひろがり始めていた。
(出典:福永武彦『忘却の河』)
・今後どういう波紋が広がるか、静観しているしかなさそうだった。
(出典:宮部みゆき『蒲生邸事件』)
・その言葉の波紋が収まるのを待ってから、高階病院長はみんなに言う。
(出典:海堂尊『チーム・バチスタの栄光(下)』)
・考えてみればこれは芥川賞が解剖学教室という僻地に与えた一つの波紋だったのである。
(出典:養老孟司『ヒトの見方』)
類語
・反響(はんきょう)
意味:発表された事柄・出来事などの影響によって起こるさまざまの反応。(出典:デジタル大辞泉)
・とばっちり
意味:無関係のものにまで影響が及ぶこと。わざわいが傍のものにまで及ぶこと。(出典:デジタル大辞泉)
・余波(よは)
意味:ある事柄が終わったあとも、なおおよぼす影響。現代ではおもに良くないことについていう。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・バタフライ効果(ばたふらいこうか)
意味:ある系の変化が初期条件に極めて鋭敏に依存する場合に見られる、予測不可能な挙動のたとえ。(出典:デジタル大辞泉)