沈着
「冷静沈着」などのように使う「沈着」という言葉。
「沈着」は、音読みで「ちんちゃく」と読みます。
「沈着」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「沈着」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
沈着の意味
「沈着」には次の二つの意味があります。
1 落ち着いていて、物事に動じないこと。また、そのさま。
2 底にたまって固着すること。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
沈着の意味①「落ち着いていて、物事に動じないこと。また、そのさま。」
「沈着」の一つ目の意味は「落ち着いていて、物事に動じないこと。また、そのさま。」です。
心が落ち着いており、何事にも動じないことや、そのような様子を表します。
「冷静沈着」などの場合はこの意味です。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・彼の勇敢な、しかも沈着な態度は、部下の信頼を買うのに十分であった。
(出典:菊池寛『ゼラール中尉』)
・その沈着さは大柄な体格とはいえ十四歳の若者とは思えぬものがあった。
(出典:池宮彰一郎『四十七人の刺客(上)』)
・おれは古代に例の見られるようなあの沈着豪胆な人間なんだろうか?
(出典:スタンダール/大久保和郎訳『パルムの僧院(下)』)
・いつも冷静沈着でチームを最高のコンディションで動かしていた。
(出典:池上永一『レキオス』)
・ハリーがいままで聞いたルーナの声の中で、一番沈着冷静な声だった。
(出典:ローリング『ハリー・ポッターシリーズ 5 ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(下)』)
沈着の意味②「底にたまって固着すること。」
「沈着」の二つ目の意味は「底にたまって固着すること。」です。
底に沈殿して付着し、固まることを意味します。
「色素が沈着する」などの場合はこの意味です。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・毎日毎日油にまみれて、爪に黒く沈着してもまだ手を止めない。
(出典:池上永一『レキオス』)
・頬にはいくつかそばかすのような、黒子のような色素の沈着がある。
(出典:宇神幸男『消えたオーケストラ』)
・血管壁の内側に沈着するカルシウムも、Eによってきれいにされる。
(出典:星新一『きまぐれエトセトラ』)
・なぜ大きくなるかというと、子宮筋層の肥大と、皮下脂肪の沈着のためだ。
(出典:吉行淳之介『技巧的生活』)
・いつの間にか色素沈着を起こし、そこだけ皮膚がたるんでいる。
(出典:篠田節子『レクイエム』)