毀損
「名誉毀損」などのように使う「毀損」という言葉。
「毀損」は、音読みで「きそん」と読みます。
「毀損」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「毀損」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
毀損の意味
「毀損」には次の二つの意味があります。
1 物をこわすこと。物がこわれること。
2 利益・体面などをそこなうこと。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
毀損の意味①「物をこわすこと。物がこわれること。」
「毀損」の一つ目の意味は「物をこわすこと。物がこわれること。」です。
今だと、普段遣いするには仰々しく、あまり見かけない言い回しですが、形あるものが原型を失うこと、つまり「壊れること」を単に意味する言葉として使われていた時期もあったようです。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・他人の商品を毀損したようで何となく気持が悪い。
(出典:三木清『書物の倫理』)
・そのものの大半は殆ど毀損してゐた。
(出典:堀辰雄『日時計の天使』)
・毀損の手は、内からも外からも、あらゆる方面から、こうした建物に襲いかかってくるのだ。
(出典:ユゴー/辻昶,松下和則訳『ノートルダム・ド・パリ(上)』)
・まったく珊瑚は、盲目となったことによって、少しもその美しい容貌を毀損されはしませんでした。
(出典:横溝正史『蔵の中・鬼火』)
類語
・汚損(おそん)
意味:物が汚れたり傷んだりすること。また、汚したり傷めたりすること。(出典:デジタル大辞泉)
・全壊(ぜんかい)
意味:災害などで建物などがもとの形がわからないほどすっかりこわれること。(出典:デジタル大辞泉)
・消耗(しょうもう)
意味:使って減らすこと。また、使って減ること。(出典:デジタル大辞泉)
・拉げる(ひしゃげる)
意味:押されてつぶれる。(出典:デジタル大辞泉)
毀損の意味②「利益・体面などをそこなうこと。」
「毀損」の二つ目の意味は「利益・体面などをそこなうこと。」です。
ある人の社会的な評価あるいは信用に悪影響が及ぶことを言います。
「名誉毀損」はこの意味であり、人の生活を脅かすほど悪質なケースは、罪に問われる可能性もあります。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・作中の狂った天才発明家に彼は自分の姿を見、この小説を自分の名誉を毀損するものと見たのである。
(出典:ヴェルヌ/大久保和郎訳『悪魔の発明』)
・私たちの話が万一むだに終ったとしましても、私は今までどおりで、地位や出世を毀損されることがないということです。
(出典:ディケンズ/青木雄造,小池滋訳『荒涼館』)
・ま、とにかく僕の生涯におけるこのいま、僕の名誉が毀損されたいま、僕にとってあなた方は僕の最良の友だちと思えるようにしてください!
(出典:ドストエフスキー/北垣信行訳『カラマーゾフの兄弟』)
・自分なら巧みに彼女の恋人たちを退け、自分たち二人の名誉を毀損する女を彼らの罠から守ることができるだろう。
(出典:スタンダール/白井浩司訳『恋愛論』)
類語
・冒涜(ぼうとく)
意味:神聖なもの、清浄なものをおかし、けがすこと。(出典:デジタル大辞泉)
・制裁(せいさい)
意味:法律や規則、また慣習・伝統などの社会的規範に背いた者に対して加えられるこらしめや罰。また、そうした懲罰を加えること。(出典:デジタル大辞泉)
・損失(そんしつ)
意味:そこない失うこと。特に、財産や利益などを失うこと。(出典:デジタル大辞泉)
・誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)
意味:根拠のない悪口を言いふらして、他人を傷つけること。(出典:デジタル大辞泉)