杞憂
「杞憂に終わる」などのように使う「杞憂」という言葉。
「杞憂」は、音読みで「きゆう」と読みます。
「杞憂」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「杞憂」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
杞憂の意味
「杞憂」には次の意味があります。
・あれこれと無用な心配をすること。杞人のうれい。(出典:大辞林 第三版)
「杞憂」をわかりやすく言うと「心配の必要がないことを心配してしまうこと」という意味になります。
中国古代、「杞」という国の人が天が落ちてくると心配になり、寝ることも食べることも手につかなくなってしまった、という故事から生まれた言葉です。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・ひょっとして女性客が来なくなるのではないかと心配したが、それは杞憂だった。
(出典:西村京太郎『浅草偏奇館の殺人』)
・そういう心配もあったが杞憂に終わった。
(出典:入間人間『電波女と青春男 第07巻』)
・実際、単に杞憂にすぎないというほど少数では決してなかった。
(出典:デフォー/佐山栄太郎訳『ロビンソン・クルーソー』)
・そしてその翌日、彼らはそれが杞憂でなかったことを思い知らされるのである。
(出典:竹本健治『匣の中の失楽』)
・杞憂であってくれたらいいと、ひそかに念じていたのです。
(出典:太宰治『新ハムレット』)
類語
・取り越し苦労(とりこしぐろう)
意味:確実に起きるかどうかわからないことを、あれこれと悪い方に想像して心配すること。(出典:大辞林 第三版)
・強迫観念(きょうはくかんねん)
意味: いくら打ち消そうとしても、その意思に逆らって心中につきまとう不安な気持。 (出典:精選版 日本国語大辞典)
・懸念する(けねんする)
意味:気になって心から離れないこと。(出典:大辞林 第三版)
・憂愁(ゆうしゅう)
意味:悲しんで心を痛めること。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・寒心する(かんしんする)
意味:恐れや不安の念で、ぞっとすること。(出典:デジタル大辞泉)