未遂
「未遂に終わる」などのように使う「未遂」という言葉。
「未遂」は、音読みで「みすい」と読みます。
「未遂」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「未遂」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
未遂の意味
「未遂」には次の二つの意味があります。
1やりかけて、しとげないこと。
2犯罪の実行に着手したが、まだ成し遂げていないこと。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
未遂の意味①「やりかけて、しとげないこと。」
未遂の一つ目の意味は「やりかけて、しとげないこと。」です。
「未遂」は犯罪について使われることが多い言葉ですが、犯罪でないことにも使えます。
「自殺未遂」や「心中未遂」などの場合は、この意味です。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・だが、反発した彼の抗議は、凰夫人の呼びかけに邪魔をされ、未遂に終わる。
(出典:津守時生『漂泊の神 抄伝 (The Beans 1)』)
・数日後、その子が自殺を図ったことと、それが未遂に終わったことを父の口から聞いた。
(出典:山本文緒『群青の夜の羽毛布』)
・汐子の歩行が不自由になったのは、その青年との心中未遂の結果であった。
(出典:皆川博子『水底の祭り』)
・「男だったの、女だったの」 夢見るように笑って集団自殺未遂者はいう。
(出典:石田衣良『池袋ウエストゲートパーク 第5巻 反自殺クラブ』)
類語
・未完(みかん)
意味:まだ完全にはでき上がっていないこと。(出典:デジタル大辞泉)
・生成り(なまなり)
意味:未熟であること。十分にできあがっていないこと。(出典:デジタル大辞泉)
・水泡に帰す(すいほうにきす)
意味:努力したことがむだになる。無効に終わる。水のあわとなる。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・頓挫(とんざ)
意味:事業、研究などが急に行きづまり、だめになること。(出典:精選版 日本国語大辞典)
未遂の意味②「犯罪の実行に着手したが、まだ成し遂げていないこと。」
「未遂」の2つ目の意味は「犯罪の実行に着手したが、まだ成し遂げていないこと。」です。
例えば、子供を誘拐しようとして、思わぬ邪魔のために遂行できていないことなどをいいます。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・その段階で警察が犯人を特定し、本来の目的を未遂で終わらせたからである。
(出典:三雲岳斗『少女ノイズ』)
・彼の名は大統領を暗殺しようとして未遂に終った何人かの人物のなかに見いだされた。
(出典:辻邦生『北の岬』)
・レイプされたらしいという噂も流れましたけど、未遂だったという話もあるんです。
(出典:東野圭吾『白夜行』)
・誘拐未遂かと思いきや、真九郎が想像するよりもずっと悪質な事件だったのだ。
(出典:片山憲太郎『紅 第2巻 ~ギロチン~』)
類語
・未遂罪(みすいざい)
意味:刑法が特にこれを処罰することを定めている場合に成立する罪。(出典:精選版 日本国語大辞)
・欠効犯(けっこうはん)
意味:未遂犯の一つ。犯罪を実行したが、その結果が生じなかった場合をいう。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・実行未遂(じっこうみすい)
意味:行為者が、犯罪の実行を終了したが、予期していた結果が生じなかったこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・着手未遂(ちゃくしゅみすい)
意味:行為者が犯罪の実行に着手したが、自分の意思以外の事情に妨げられ、予定した行為を終了できなかったこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)