斟酌
「事情を斟酌する」などのように使う「斟酌」という言葉。
「斟酌」は、音読みで「しんしゃく」と読みます。
「斟酌」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「斟酌」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
斟酌の意味
「斟酌」は主に次の二つの意味で用いられます。
1相手の事情や心情をくみとること。また、くみとって手加減すること。
2言動を控えめにすること。遠慮すること。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
斟酌の意味①「相手の事情や心情をくみとること。また、くみとって手加減すること。」
「斟酌」の一つ目の意味は「相手の事情や心情をくみとること。また、くみとって手加減すること。」です。
相手に直接質問をせずに、相手の言動などから要求するものを推測して、理解することを意味します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・だけど、ぼくたちにはそんな個人の想いを斟酌している余裕はなかった。
(出典:大野木寛『ラーゼフォン第1巻』)
・もともと相手の気持ちなど斟酌する気もない粗暴さが感じられた。
(出典:富野由悠季『オーラバトラー戦記 10 重層の刻』)
・けれども裁判長にはそれが何の斟酌にも値するものでないと思われた。
(出典:平出修『公判』)
・すこしでも同情したり斟酌したりできることが、みんなをいい気持にならせたのである。
(出典:マン/佐藤晃一訳『トーマス・マン短編集1』)
類語
・推量(すいりょう)
意味:物事の状態・程度や他人の心中などをおしはかること。(出典:デジタル大辞泉)
・推察(すいさつ)
意味:他人の事情や心中を思いやること。(出典:デジタル大辞泉)
・明察(めいさつ)
意味:はっきりと事情・事態を推察すること。よく真相を見抜くこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・類推(るいすい)
意味:同じたぐいの事、または類似の点をもとにして他の事を推しはかること。(出典:精選版 日本国語大辞典)
斟酌の意味②「言動を控えめにすること。遠慮すること。」
「斟酌」の二つ目の意味は「言動を控えめにすること。遠慮すること。」です。
「食物を斟酌する」で「食物を控えめに摂取する」というような意味になります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・同じ病気でも第一は年齢によって食物を斟酌しなければなりません。
(出典:村井弦斎『食道楽』)
・習慣によっても斟酌を加えなければなりません。
(出典:村井弦斎『食道楽』)
・自分が身につけているものが、布一枚であることを斟酌せずに動くので、布がずれる。
(出典:来楽零『ロミオの災難』)
・しかし若く健康な体の疼きはそんな事情など全く斟酌しなかった。
(出典:森村誠一『密閉山脈』)
類語
・心置き(こころおき)
意味:心づかい。遠慮。(出典:デジタル大辞泉)
・控え目(ひかえめ)
意味:言動を遠慮がちにすること。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・忌憚(きたん)
意味:遠慮すること。多く、否定の語を伴って用いられる。(出典:デジタル大辞泉)
・慎む(つつしむ)
意味:度をすごさないようにする。控えめにする。節制する。(出典:デジタル大辞泉)