文月
「文月の夜」などのように使う「文月」という言葉。
「文月」は、訓読みで「ふみづき」と読みます。
「文月」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「文月」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
文月の意味
「文月」には次の意味があります。
・陰暦7月の異称。(出典:日本大百科全書)
わかりやすく言えば「7月」のことです。
小説などでの具体的な使い方・例文は下記の通り。
使い方・例文
・文月に入って、大坂の町は騒然とし始めていた。
(出典:茶屋二郎『遠く永い夢(上)-本能寺 信長謀殺の真実』)
・文月に入っても、まだ雨は降り続いていた。
(出典:夢枕獏『陰陽師龍笛(りゅうてき)ノ巻』)
・事件の端を発しましたのは、前回のにせ金事件がめでたく大団円となりましてから約半月ほどたってからのことでしたが、半月のちといえばもちろんもう月は変わって、文月七月です。
(出典:佐々木味津三『右門捕物帖』)
・相撲節会は、毎年文月に行われる年中行事のひとつであり、帝がごらんになる天覧相撲であった。
(出典:夢枕獏『陰陽師生成(なまな)り姫』)
・文月中旬の、昼近い時刻で、まだ夏の名残りの強い光をたたえた陽ざしが、あたりにみなぎっていた。
(出典:池波正太郎『剣客商売 2 辻斬り』)
・「このたび、五日後の文月の七日に、相撲の節会がありますが、その時、真髪成村さまと海恒世さまの取り組みのあることは御存知でいらっしゃいますか」 「はい」 博雅はうなずいた。
(出典:夢枕獏『陰陽師生成(なまな)り姫』)
・鴨頭草のあはれに哀しきかな、 わが袖のごとく濡れがちに、 濃き空色の上目しぬ、 文月の朝の木のもとの 板井のほとり。
(出典:与謝野晶子『晶子詩篇全集』)
・梅雨の明けきらぬ新暦の七夕では、古来の情趣は殆ど失われたに近いが、「文月や六日も常の夜には似ず」といった古人の感情からいえば、七夕の日の暮れるのは、今より遥に待遠しかったであろう。
(出典:柴田宵曲『古句を観る』)