抽象
「抽象的な言葉」などのように使う「抽象」という言葉。
「抽象」は、音読みで「ちゅうしょう」と読みます。
「抽象」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「抽象」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
抽象の意味
「抽象」には次の意味があります。
・事物または表象からある要素・側面・性質をぬきだして把握すること。(出典:デジタル大辞泉)
「具体」に対してある特性を抜き出して他を捨てることを指します。
捨てることを強調する「捨象」という言葉もあります
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・そのことは道徳の根拠が抽象的な人間性一般にあるということではない。 人間はすべて個性である。
(出典:三木清『哲学入門』)
・市場というのは、抽象的な個人の集合に経済的な表現を与えるものです。
(出典:大澤真幸『戦後の思想空間』)
・そういうものに触れない抽象的な宗教的心情や信仰はあり得ないからだ。
(出典:戸坂潤『思想と風俗』)
・しかしこの点において建築は独立な抽象的な模様よりはやや寛大である。
(出典:九鬼周造『「いき」の構造』)
・ただ具体的なる個人性は抽象的概念にて知ることができぬまでである。
(出典:西田幾多郎『善の研究』)
類語
・捨象(しゃしょう)
意味:事物または表象からある要素・側面・性質を抽象するとき、他の要素・側面・性質を度外視すること。(出典:デジタル大辞泉)
・概念(がいねん)
意味:形式論理学で、事物の本質をとらえる思考の形式。(出典:デジタル大辞泉)
・外延(がいえん)
意味:論理学で、概念が適用される事物の集合。(出典:デジタル大辞泉)
・帰納(きのう)
意味:個々の具体的な事例から一般に通用するような原理・法則などを導き出すこと。(出典:デジタル大辞泉)
・心象(しんしょう)
意味:見たり聞いたりしたことが基になり、意識の中に現れてくる像や姿。イメージ。心像。(出典:大辞林 第三版)