懸隔
「身分の懸隔」などのように使う「懸隔」という言葉。
「懸隔」は、音読みで「けんかく」と読みます。
「懸隔」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「懸隔」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
懸隔の意味
「懸隔」には次の二つの意味があります。
1 二つの物事がかけ離れていること。非常に差があること。
2 程度のはなはだしいさま。ことのほか。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
懸隔の意味①「二つの物事がかけ離れていること。非常に差があること。」
「懸隔」の一つ目の意味は「二つの物事がかけ離れていること。非常に差があること。」です。
わかりやすく言うと「両者に大きな差があること」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・工藤は、彼らの世界と自分とに大きな懸隔が感じられ、ひけめを覚えた。
(出典:松本清張『小説東京帝国大学(上)』)
・両者の意嚮いこうの間には、あまりにもひどい懸隔けんかくがあるので、母は狼狽ろうばいした。
(出典:太宰治『花火』)
・夏と冬との懸隔は、八ヶ岳の場合より大きいように思われた。
(出典:新田次郎『孤高の人』)
・自分と利仁との間に、どれ程の懸隔があるか、そんな事は、考える暇ひまがない。
(出典:芥川龍之介『羅生門・鼻』)
類語
・等差(とうさ)
意味:ある一定の基準による等級の違い。(出典:デジタル大辞泉)
・径庭(けいてい)
意味:二つのものの間にある隔たり。(出典:デジタル大辞泉)
・懸絶(けんぜつ)
意味:著しい隔たりがあること。(出典:デジタル大辞泉)
・落差(らくさ)
意味:二つのものの間の差。水準などの高低の差。(出典:デジタル大辞泉)
懸隔の意味②「程度のはなはだしいさま。ことのほか。」
「懸隔」の二つ目の意味は「程度のはなはだしいさま。ことのほか。」です。
わかりやすく言うと「限度を超えていること」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・第一に、火砲並びに戦車による破壊力の著しい懸隔が埋められていない。
(出典:五味川純平『ノモンハン(下)』)
・年代につきては、その懸隔のはなはだしきこと言をまたざるなり。
(出典:井上円了『南半球五万哩』)
・先ず彼我美術家の制作に対する態度に甚だしく懸隔があることを指摘しなければならぬ。
(出典:藤島武二『画室の言葉』)
・そうして今更ながらあまりにひどい思想の懸隔が気味わるくも思はれるのであつた。
(出典:伊藤野枝『編輯室より』)
類語
・桁外れ(けたはずれ)
意味:価値や規模などが、他からかけ離れていること。(出典:デジタル大辞泉)
・規格外(きかくがい)
意味:標準から大きく超え出ているさま(出典:実用日本語表現辞典)
・過剰(かじょう)
意味:必要な程度や数量を越えて多いこと。(出典:デジタル大辞泉)