当て擦り
「当て擦りにはうんざりだ」などのように使う「当て擦り」という言葉。
「当て擦り」は、訓読みで「あてこすり」と読みます。
「当て擦り」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「当て擦り」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
当て擦りの意味
「当て擦り」には次の意味があります。
・ほかのことにかこつけて、悪口や皮肉をいうこと。また、その言葉。(出典:精選版 日本国語大辞典)
あからさまにではなく、それとなく悪口を言うことなどを意味します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・叔母は最初から僕が原稿を書いて食扶持でも入れるものとでも思ってるんでしょう、僕がペンを持っていると、そんなにして書いたものはいったいどうなるの、なんて当擦りを云います。
(出典:夏目漱石『明暗』)
・いちいち、相槌を打って助役様のご機嫌を取るのが五人、やんわりと皮肉や当て擦りで返すのが二人だ。
(出典:岩井志麻子『ぼっけえ、きょうてえ』)
・ある者はその当て擦りの本体を明らかにしようとして、明らさまなまたひどい註釈をつけ加えた。
(出典:ロラン・ロマン『ジャン・クリストフ』)
・お絹は蔭でそうは言っても、面と向かうと当擦りを言うくらいがせいぜいであった。
(出典:徳田秋声『挿話』)
・事実、道庵は好んで人の悪口をいい、また好んで当擦りをするわけでもなんでもないが、一流の店ともあろうものが、こういう悪酒を作って売り出させようとする手段を卑しむのは、少しも無理がない。
(出典:中里介山『大菩薩峠』)
類語
・悪口(わるくち)
意味:他を悪く言うこと。人をあしざまに言うこと。また、そのことば。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・皮肉(ひにく)
意味:意地のわるい言動。骨身にこたえるような痛烈な非難。また、遠まわしに意地悪を言ったりしたりすること。また、そのさま。(出典: 精選版 日本国語大辞典 )
・嫌味(いやみ)
意味: 相手のいやがるようなことを、わざわざ意地悪く言ったりしたりするさま。(出典: 精選版 日本国語大辞典 )
・風刺(ふうし)
意味:社会や人物の欠点・罪悪を遠回しに批判すること。また、その批判を嘲笑的に表現すること。(出典:デジタル大辞泉)
・憎まれ口(にくまれぐち)
意味:人に憎まれるようなことを言うこと。また、その言葉。(出典:デジタル大辞泉)