巷
「巷で話題の商品」などのように使う「巷」という言葉。
「巷」は、訓読みで「ちまた」と読みます。
「巷」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「巷」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
巷の意味
「巷」には次の二つの意味があります。
1 ㋐人が大ぜい集まっている、にぎやかな通り。また、町中(まちなか)。㋑大ぜいの人々が生活している所。世の中。世間。
2 ある物事が盛んに行われている所。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
巷の意味①「㋐人が大ぜい集まっている、にぎやかな通り。また、町中(まちなか)。㋑大ぜいの人々が生活している所。世の中。世間。」
「巷」の一つ目の意味は「㋐人が大ぜい集まっている、にぎやかな通り。また、町中(まちなか)。㋑大ぜいの人々が生活している所。世の中。世間。」です。
人がたくさんいる場所のことです。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・それはまだ進駐軍が肩で風をきって巷をのし歩いている頃のことだった。
(出典:矢口純『酒を愛する男の酒』)
・世の巷に駆けめぐる人は目のみを鋭く働かしめて耳を用いざるものなり。
(出典:国木田独歩『わかれ』)
・巷に出でて万人と交わり道を説くことは自信ある人にできることであろう。
(出典:倉田百三『愛と認識との出発』)
・巷には巷の恋が満ちあふれ 男はかなり強くなくちゃいけない 寝ないが勝ち!
(出典:林真理子『夢見るころを過ぎても』)
類語
・世間(せけん)
意味:人が集まり、生活している場。(出典:デジタル大辞泉)
・市街地(しがいち)
意味:人家や商店が密集したにぎやかな土地。(出典:デジタル大辞泉)
・市井(しせい)
意味:人の集まり住む所。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・町中(まちなか)
意味:町の隅々まで全部。町全体。また、そこに住む人全部。(出典:精選版 日本国語大辞典)
巷の意味②「ある物事が盛んに行われている所。」
「巷」の二つ目の意味は「ある物事が盛んに行われている所。」です。
特定のできごとが活発な場所を言います。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・永安公司の屋根の上の星が南京玉の八角灯のように騒乱の巷に輝いていた。
(出典:吉行エイスケ『地図に出てくる男女』)
・修羅の巷に放り込むには、心も体も、成熟しきっていないように思えた。
(出典:高橋弥七郎『灼眼のシャナ 第05巻』)
・いかなる恐怖の巷からこのやうにして逃れ来つたのか?
(出典:リラダン『殘酷物語』)
・さればとて前進すれば必ず戦争の巷の人とならなければならぬ。
(出典:田山花袋『一兵卒』)
類語
・吹き溜まり(ふきだまり)
意味:雪や落ち葉などが風に吹き寄せられてたまっている場所。(出典:デジタル大辞泉)
・目白押し(めじろおし)
意味:多人数が込み合って並ぶこと。また、物事が集中してあること。(出典:デジタル大辞泉)
・犇めく(ひしめく)
意味:集まって騒ぎたてる。押しあい騒ぐ。また、押しあうほどに大勢集まる。混雑する。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・殺到(さっとう)
意味:多くの人や物が一度に1か所に押し寄せること。(出典:デジタル大辞泉)