孕む
「危険を孕む」などのように使う「孕む」という言葉。
「孕む」は、訓読みで「はらむ」と読みます。
「孕む」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「孕む」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
孕むの意味
「孕む」には次の三つの意味があります。
1 胎内に子を宿す。妊娠する。みごもる。
2 その中に含み持つ。
3 穂が出ようとしてふくらむ。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
孕むの意味①「胎内に子を宿す。妊娠する。みごもる。」
「孕む」の一つ目の意味は「胎内に子を宿す。妊娠する。みごもる。」です。
人間や動物が妊娠した時に使われます。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・最初に女の子を孕ませることのできなかった私が悪いのだ、と非難した。
(出典:板東眞砂子『死国』)
・思い切り女を孕ませて、このままここに居付いてしまってもいいのである。
(出典:森敦『月山・鳥海山』)
・孕んでいる女に男が興味を持つなどとは、考えたこともなかった。
(出典:林真理子『ロストワールド』)
類語
・身重(みおも)
意味:子どもをはらむこと。妊娠していること。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・受胎(じゅたい)
意味:身ごもること。妊娠。(出典:デジタル大辞泉)
・妊産婦(にんさんぷ)
意味:妊婦と産婦。妊娠中や出産前後の女性。(出典:デジタル大辞泉)
孕むの意味②「その中に含み持つ。」
「孕む」の二つ目の意味は「その中に含み持つ。」です。
2つ以上の意味を併せ持つ時などに使われます。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・生産力のより以上の発達によって、資本主義がどのような矛盾を孕んで来るか。
(出典:戸坂潤『現代唯物論講話』)
・両端から二本の碇綱を延しているゆえ、帆に風を孕んでも船は動かない。
(出典:鈴木三重吉『千鳥』)
・というよりもむしろ歌や文句の中から、孕まれたろうと思うものが多いのである。
(出典:柳田国男『野草雑記・野鳥雑記』)
類語
・内蔵(ないぞう)
意味:周辺機器がコンピューターの内部に格納されていること。(出典:ASCII.jpデジタル用語辞典)
・包含(ほうがん)
意味:つつみこみ、中にふくんでいること。(出典:デジタル大辞泉)
・含有(がんゆう)
意味:成分や内容の一部として含みもつこと。(出典:デジタル大辞泉)
孕むの意味③「穂が出ようとしてふくらむ。」
「孕む」の三つ目の意味は「穂が出ようとしてふくらむ。」です。
穂がふくらむことを穂孕(ほばらみ)と言ったりします。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・それでも稀に日が照ると、田には村村から穂孕みをたしかめに出る百姓たちの姿があふれた。
(出典:藤沢周平『漆(うるし)の実のみのる国(下)』)
・しかし穂孕み前の稲田は、日を受けながら日没のあとのようにいちめんに暗く見えた。
(出典:藤沢周平『三屋清左衛門残日録』)
・しかしそういう藩の見きわめの甘さを嘲笑するように、稲が穂孕みする時期になっても、降りつづくつめたい雨はやまず、八月に入ると凶作の疑いは濃くなった。
(出典:藤沢周平『漆(うるし)の実のみのる国(下)』)
類語
・発芽(はつが)
意味:芽を出すこと。植物の種子・胞子・花粉や樹枝の芽などが発育を始めること。(出典:デジタル大辞泉)
・萌芽(ほうが)
意味:草木の芽のもえ出ること。(出典:デジタル大辞泉)
・分蘖(ぶんけつ)
意味:稲・麦・トウモロコシなどで、茎の根に近い節から新しく茎が発生すること。(出典:デジタル大辞泉)