唆す
「後輩を唆す」などのように使う「唆す」という言葉。
「唆す」は、訓読みで「そそのかす」と読みます。
「唆す」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「唆す」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
唆すの意味
「唆す」には次の二つの意味があります。
1 よくない行動をするように、おだてたり誘ったりする。
2 その気になるように勧める。促す。(出典:大辞林 第三版)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
唆すの意味①「よくない行動をするように、おだてたり誘ったりする。」
「唆す」の一つ目の意味は「よくない行動をするように、おだてたり誘ったりする。」です。
悪い道に相手を誘導する時などに使われます。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・角田は村の若者たちを唆し、詐欺事件となるように画策したのである。
(出典:高橋克彦『私の骨』)
・何かに唆されたように、人は馬鹿なことをするものだ。
(出典:桐野夏生『OUT(上)』)
・心の中に鬼がいて、それが私を唆して、人を殺させるのでございます。
(出典:国枝史郎『神州纐纈城』)
・そのために、彼は秘かに部内に四将軍の排斥の声が起るよう他の者を唆した。
(出典:松本清張『象徴の設計 新装版』)
類語
・煽惑(せんわく)
意味:人をあおって心をまどわすこと。(出典:デジタル大辞泉)
・焚き付ける(たきつける)
意味:人をそそのかして何かをさせる。けしかける。(出典:デジタル大辞泉)
・煽る(あおる)
意味:他人を刺激して、ある行動に駆り立てたりする。(出典:大辞林 第三版)
・指嗾(しそう)
意味:人に指図して、悪事などを行うように仕向けること。(出典:デジタル大辞泉)
唆すの意味②「その気になるように勧める。促す。」
「唆す」の二つ目の意味は「その気になるように勧める。促す。」です。
人に何かをするように勧める、という意味で、特に悪い意味でなくとも使います。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・彼女のことで、あなたを唆したのはぼくだから、ずうっと気にしていたんですよ。
(出典:荒巻義雄『「新説邪馬台国の謎」殺人事件』)
・むしろ、躯の底のほうから衝き上げてくるものに唆されて、歩いて行く。
(出典:吉行淳之介『私の東京物語』)
・あの子をうまく唆したら、ちょっと面白いことができるかも分らない。
(出典:松本清張『事故 別冊黒い画集1』)
・あの左腕はおまえんだろ、俺はただおまえに唆されて使ってるだけだ。
(出典:奈須きのこ『DDD JtheE』)
類語
・駆る(かる)
意味:強いてある行動をとらせる。(出典:大辞林 第三版)
・誘引(ゆういん)
意味:注意・興味をさそってひきつけること。さそいこむこと。(出典:大辞林 第三版)
・丸め込む(まるめこむ)
意味:相手を自分の思うとおりに操る。(出典:デジタル大辞泉)
・掻き口説く(かきくどく)
意味:自分の心境を訴えたり、相手を説得したりするため、くどくどと繰り返し述べたてる。(出典:デジタル大辞泉)