可惜夜
「可惜夜の月」などのように使う「可惜夜」という言葉。
「可惜夜」は、「あたらよ」と読みます。
「可惜夜」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「可惜夜」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
可惜夜の意味
「可惜夜」には次の意味があります。
・明けてしまうのが惜しい夜。(出典:デジタル大辞泉)
補足して言い換えると、あけてしまうのが惜しいくらい素晴らしい夜、という意味です。
古語で、短歌や俳句に詠まれる言葉です。
古くは、万葉集の第九巻1693番目の詠み人知らずの次の歌で使われています。
「玉櫛笥 明けまく惜しき あたら夜を 衣手離れて 独りかも寝む(たまくしげ あけまくをしき あたらよを ころもでかれて ひとりかもねむ)」
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・これは古歌の〈可惜夜の月と花とを同じくは心知れらん人に見せばや〉から取ったのである。
(出典:田辺聖子『新源氏物語』)
・こんな夜のことを、可惜夜というのだな。
・あの可惜夜の桜が、今でも心に残っています。
・彼女と初めての過ごした夜は、まさに可惜夜という言葉がぴったりの時間だった。
・可惜夜に、眠れずにあたなと二人、海岸線をいつまでも歩いていました。
類語
・天の足夜(あまのたりよ)
意味:満ち足りた気持で過ごす夜。すばらしい一晩。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・良夜(りょうや)
意味:よい夜。月の明るく美しい夜。特に、中秋名月の夜。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・良宵(りょうしょう)
意味:よい晩。気持のよい夜。晴れた、ながめのよい夜。また、めでたい晩。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・長夜(ちょうや/ながよ)
意味:長い夜。なかなか明けない夜。ふつう、秋または冬の夜をさす。よなが。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・夜長・夜永(よなが)
意味:夜が長いこと。また、その頃。長夜。秋の夜にいうことが多い。(出典:精選版 日本国語大辞典)