千歳飴
「七五三の千歳飴」などのように使う「千歳飴」という言葉。
「千歳飴」は、「ちとせあめ」と読みます。
「千歳飴」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「千歳飴」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
千歳飴の意味
「千歳飴」には次の意味があります。
・新生児や七五三の子どもの宮参りのときに売られる、縁起を祝う紅白の棒飴。鶴亀などの絵のついた細長い化粧袋に入れる。せんざいあめ。千年飴(せんねんあめ)。寿命飴。寿命糖。(出典:精選版 日本国語大辞典)
子供の健康や長寿を祝う縁起飴です。神社によっては護符代わりにすることもあります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・少女は着物を着て千歳飴の袋を持っていた。
(出典:山本文緒『きっと君は泣く』)
・繃帯の手で千歳飴下げるは親か子か、七五三のお祝ひに、神田明神境内から仰ぐ災後東京の秋空は弥が上にも青かつたらう。
(出典:正岡容『大正東京錦絵』)
・模型ヒコーキは千歳飴くらいの紙袋に、木のプロペラや、竹ヒゴや、動力のゴムなんかの材料が入っているヤツで、いまのプラモデルなんかに比べると、まるっきり、デッカイおてもとといった具合のそまつなものだった。
(出典:南伸坊『ぼくのコドモ時間』)
・そのうちに、いくら頑張っても踏ん張っても、長顎が思い浮ばなくなり、そのかわりに、長芋だの、羊羹だの、千歳飴だの、蕎麦だの、饂飩だの、鰻だの、泥鰌だの、海苔巻きだの、長いには長いが、食物ばかりが思い浮ぶ。
(出典:井上ひさし『手鎖心中』)
・「かくまでに親は思うぞ千歳飴」親子の情愛というものはまた別段で、我々が改めていう必要もございませんが、人間ばかりでなく、焼け野の雉子、夜の鶴、鳥畜類に至るまでこればかりは変わりがないと申します。
(出典:今村信雄編『古典落語(下)』)
類語
・寿命飴(じゅみょうあめ)
意味:江戸時代、神社の門前などで売った棒状の飴。今の千歳飴の類。千年飴。寿命糖。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・千年飴(せんねんあめ)
意味:江戸時代、元祿・宝永(一六八八‐一七一一)頃、江戸浅草の飴売七兵衛が売り本の飴を、鶴亀や松竹梅の模様をかいた長い紙袋に入れたもの。神社の門前で、子どもの宮参りのときに買い、親戚・縁者にも配るのをならわしとした。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・七五三(しちごさん)
意味:11月15日に行われる、子供の成長を祝う習俗。七五三と称することは近世に始まったことで、3歳の男女児の「髪置(かみおき)」、5歳の男児の「袴着(はかまぎ)」、7歳の女児の「紐落(ひもおとし)」を行った。(出典:日本大百科全書(ニッポニカ))
・宮参り(みやまいり)
意味:生後初めて氏神に参って氏子となることで、初宮参りともいう。(出典:日本大百科全書(ニッポニカ))