十全
「十全を期す」などのように使う「十全」という言葉。
「十全」は、音読みで「じゅうぜん」と読みます。
「十全」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「十全」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
十全の意味
「十全」には次の二つの意味があります。
1 少しも欠けたところがないこと。十分に整っていて、危なげのないこと。また、そのさま。万全。
2 概念または判断が、その表す対象と完全に相応すること。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
十全の意味①「少しも欠けたところがないこと。十分に整っていて、危なげのないこと。また、そのさま。万全。」
「十全」の一つ目の意味は「少しも欠けたところがないこと。十分に整っていて、危なげのないこと。また、そのさま。万全。」です。
万全と同様の意味で使用される言葉で、完璧なさまを表すのに使用されます。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・より確実に万全に、十全の機能を果たし得る状態を維持するだけのことだ。
(出典:虚淵玄『Fate/Zero Vol.3 「散りゆく者たち」』)
・だが、こいつの機能を十全に発揮することができるのは、おれだけだ。
(出典:菊地秀行『トレジャー・ハンター15 エイリアン魔神国 完結篇3』)
・この場合、自然的光が本來の認識に十全な作用とされるのである。
(出典:三木清『認識論』)
・宣伝活動も、もはやこれ以上はないといえるほど十全に行った。
(出典:東野圭吾『白夜行』)
類語
・万全(ばんぜん)
意味:完全で少しの手落ちもないこと。きわめて完全なこと。また、そのさま。(出典:精通版 日本語大辞典)
・徹底的(てっていてき)
意味:徹底するさま。余すところなくどこまでも十分にするさま。最後まで一貫しているさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・ありとあらゆる
意味:(「あらゆる」を強めた表現。現在では連体詞のように用いる) あると考えられるすべての。すべての種類の。あらゆる。ありとある。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・完璧(かんぺき)
意味:(瑕(きず)のない宝玉の意から) 欠点のないこと。完全無欠ですぐれているさま。また、残るところなく、すべてにわたるさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
十全の意味②「概念または判断が、その表す対象と完全に相応すること。」
「十全」の二つ目の意味は「概念または判断が、その表す対象と完全に相応すること。」です。
概念や判断などに対して使用されます。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・いや、そうでなければ生命の潜在性を十全に燃やしているとはいえない。
(出典:茂木健一郎『思考の補助線』)
・どうやら私は思うに、あなたはあの娘のことを十全に理解しておられるようだ。
(出典:村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 1』)
・あらゆる苦しみを取り除き、人が十全に生きられるようにしてくれるんだよ。
(出典:貴志祐介『天使の囀り』)
・この巨人の正体さえ知らなければ、十全の安堵を抱いて身を委ねたであろう。
(出典:菊地秀行『吸血鬼ハンター12c D-邪王星団3』)
類語
・確実(かくじつ)
意味:確かなこと。まちがいのないこと。また、そのさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・間違いない(まちがいない)
意味:信頼できるさま。安心できるさま。また、確実であるさま。(出典:デジタル大辞泉)
・正しい(ただしい)
意味:道徳・法律・作法などにかなっている。規範や規準に対して乱れたところがない。(出典:デジタル大辞泉)
・安全(あんぜん)
意味:危険がなく安心なこと。傷病などの生命にかかわる心配、物の盗難・破損などの心配のないこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)