勝って兜の緒を締めよ
「一仕事のあとに勝って兜の緒を締めよと気合を入れる」などのように使う「勝って兜の緒を締めよ」という言葉。
「勝って兜の緒を締めよ」は、「かってかぶとのおをしめよ」と読みます。
「勝って兜の緒を締めよ」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「勝って兜の緒を締めよ」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
勝って兜の緒を締めよの意味
「勝って兜の緒を締めよ」には次の意味があります。
・敵に勝っても油断しないで、心を引き締めよ、というたとえ。(出典:デジタル大辞泉)
「兜の緒」とは、戦うに当たって兜を頭に結びつけるための紐を指します。戦いに勝った後、ほっとしてその紐を緩めるのではなく、逆に敵の反撃に備えて紐を締め直すぐらいの慎重さを持てというところからきています。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・勝って兜の緒を締めよとは、正にこの時のことで、諸子は決して凱旋したのではない。
(出典:阿川弘之『山本五十六』)
・「いや、勝って欲しいからこそ、勝って兜の緒を締めよ、と思いましてね」 「勝つに決まってるじゃないですか」 誰かが声を上げて言った。
(出典:三浦綾子『銃口』)
・勝ったほうは、 「勝って兜の緒を締めよ」 という。
(出典:青木雨彦『ことわざ雨彦流』)
・昔から「勝って兜の緒を締めよ」といわれるが、真珠湾は劈頭の奇襲であり、インド洋の敵は機動部隊が不在であった。
(出典:豊田穣『海軍軍令部』)
・日本近代史の上に東郷平八郎元帥が果した役割は、すでによく知られているところであり、日本海海戦での偉勲はもとより、例の「古人曰く勝って兜の緒を締めよ」という「聯合艦隊解散の辞」も、世界的にたいへん名高いものとなっております。
(出典:阿川弘之『私記キスカ撤退』)
類語
・気が抜ける(きがぬける)
意味:気持ちの張りがなくなる。(出典:デジタル大辞泉)
・用心(ようじん)
意味:万一に備えて注意を払うこと。あらかじめ警戒して怠らないこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・警戒(けいかい)
意味:危険や災害に備えて、あらかじめ注意し、用心すること。(出典:デジタル大辞泉)
・転ばぬ先の杖(ころばぬさきのつえ)
意味:前もって用心していれば、失敗することがないというたとえ。(出典:デジタル大辞泉)
・危機感(ききかん)
意味:今のままでは危ないという不安や緊迫感。(出典:デジタル大辞泉)