前後不覚
「前後不覚に酔う」などのように使う「前後不覚」という言葉。
「前後不覚」は、音読みで「ぜんごふかく」と読みます。
「前後不覚」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「前後不覚」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
前後不覚の意味
「前後不覚」には次の意味があります。
・前後の区別もつかなくなること。正常な判断ができなくなること。正体を失うこと。また、そのさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
「前後不覚に酔う」は「前後の区別もつかなくなるほど酔う」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・そのまま李鄭の部屋で前後不覚になってしまっていたのではないだろうか?
(出典:吉行エイスケ『飛行機から墜ちるまで』)
・あれぐらい前後不覚に酔っ払って良く生き延びていられたものだと思う。
(出典:坂口安吾『明日は天気になれ』)
・前後不覚の状態のまま国連病院の裏の道を通ったのがよくなかった。
(出典:田中哲弥『大久保町の決闘』)
・こんなに遅くまで前後不覚に眠ってしまったことは生まれてはじめてである。
(出典:井上ひさし『ドン松五郎の生活』)
・やがて船室に戻ると、船に乗ったときの習慣で、前後不覚に眠り込んだ。
(出典:クリスティ/松本恵子訳『ザ・ビッグ4』)
類語
・卒倒(そっとう)
意味:急にめまいがして倒れること。脳貧血や、脳震盪(しんとう)などによって起こり、一時気をうしなう。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・失神(しっしん)
意味:意識を失うこと。多くは、強い精神的ショックや肉体的打撃、あるいは脳貧血などによって起こる。気絶。(出典:デジタル大辞泉)
・酩酊(めいてい)
意味:過度の飲酒や薬物の吸飲などで、大脳が軽い麻痺を起こし、自己抑制や判断力が低下し、誇大妄想的気分になった状態。酔っぱらった状態。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・痴態(ちたい)
意味:愚かな振る舞い。ばかげた態度。(出典:デジタル大辞泉)
・乱酔(らんすい)
意味:正体がなくなるほど酒に酔うこと。泥酔。(出典:デジタル大辞泉)