便乗
「便乗商法」などのように使う「便乗」という言葉。
「便乗」は、音読みで「びんじょう」と読みます。
「便乗」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「便乗」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
便乗の意味
「便乗」には次の二つの意味があります。
1 他人の乗り物に、ついでに乗せてもらうこと。
2 巧みに機会をとらえて利用すること。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
便乗の意味①「他人の乗り物に、ついでに乗せてもらうこと。」
「便乗」の一つ目の意味は「他人の乗り物に、ついでに乗せてもらうこと。」です。
「便」には「都合が良い」という意味があり、「便乗」は都合よく乗ることを指します。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・山に山菜採りの車が行くというので、近所の人が便乗するのかもしれない。
(出典:赤瀬川原平『ごちそう探検隊』)
・今度の旅はパリゆきの団体に便乗しているので、ヘンなコースである。
(出典:田辺聖子『ヨーロッパ横丁たべあるき』)
・その立往生のために特別機が出され、私たちが便乗できたのかもしれない。
(出典:星新一『きまぐれエトセトラ』)
・或いはまたその船に便乗して、遠い処の鼠が入り込んだという話もある。
(出典:柳田国男『海上の道』)
類語
・相乗り(あいのり)
意味:本来は別々に利用する人たちが、一つの乗り物に同乗すること。(出典:デジタル大辞泉)
・乗合(のりあい)
意味:同じ乗物にともに乗ること。また、その人。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・只乗り(ただのり)
意味:料金を払わないで乗り物に乗ること。無賃乗車。(出典:デジタル大辞泉)
・ヒッチハイク
意味:通りがかりの自動車に無料で乗せてもらって続ける旅行。(出典:デジタル大辞泉)
便乗の意味②「巧みに機会をとらえて利用すること。」
「便乗」の二つ目の意味は「巧みに機会をとらえて利用すること。」です。
「便乗商法」とは、人気があるなどで売れていたり注目されていたりするものごとを利用し、関連があるようにアピールして商売を行うことをいいます。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・アダムスキーの成功に便乗して、同様の体験談を発表する者も続出した。
(出典:山本弘『妖魔夜行 戦慄のミレニアム(下)』)
・あたしも知っているぐらい有名なのがあったから、これに便乗しようぜ!
(出典:葵せきな『生徒会の日常 碧陽学園生徒会黙示録1』)
・私はいささかでも便乗みたいな事はてれくさくて、とてもダメなのです。
(出典:野原一夫『太宰治 生涯と文学』)
・「あ、じゃあ」と天童が手を挙げたので、僕も便乗して手を挙げた。
(出典:乾くるみ『リピート』)
類語
・利用(りよう)
意味:便宜的な手段として使うこと。方便にすること。(出典:デジタル大辞泉)
・追風(おいかぜ)
意味:有利な状況。後押しとなる出来事。(出典:デジタル大辞泉)
・肖る(あやかる)
意味:影響を受けて同様の状態になる。感化されてそれと同じようになる。ふつう、よい状態になりたい意に用いられる。(出典:デジタル大辞泉)
・乗ずる(じょうずる)
意味:好機として逃さず利用する。つけこむ。つけいる。(出典:デジタル大辞泉)