侘しい
「侘しい一人暮らし」などのように使う「侘しい」という言葉。
「侘しい」は、訓読みで「わびしい」と読みます。
「侘しい」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「侘しい」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
侘しいの意味
「侘しい」には次の三つの意味があります。
1 ひどくもの静かでさびしい。
2 心が慰められないさま。心細い。
3 貧しくてあわれなさま。みすぼらしい。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
侘しいの意味①「ひどくもの静かでさびしい。」
「侘しい」の一つ目の意味は「ひどくもの静かでさびしい。」です。
人や生物などの気配が感じられないことで生じる寂しさを言います。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・時間も夕食どきのせいだろう、侘しい駅前の店にしては混み合っている。
(出典:赤川次郎『殺し屋志願』)
・水分の存在を示すであろう草一本、樹一枝見えはしなかった。 そこにはひとすじの望みをかけるべきものとてもない侘しき風景があった。
(出典:ドイル/延原謙訳『緋色の研究』)
・仏像が立っているために、骨箱の山がいっそう侘しいものに見えた。
(出典:三浦綾子『続泥流地帯 草のうた』)
類語
・静寂(せいじゃく)
意味:静かでひっそりしていること。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・蕭索(しょうさく)
意味:もの寂しいさま。うらぶれた感じのするさま。(出典:デジタル大辞泉)
・蕭条(しょうじょう)
意味:ひっそりとしてもの寂しいさま。(出典:デジタル大辞泉)
侘しいの意味②「心が慰められないさま。心細い。」
「侘しい」の二つ目の意味は「心が慰められないさま。心細い。」です。
頼れる人や語り合える人がいないことなどで生じる寂しさを言います。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・このままだれも待つ者のない暗い部屋に一人帰って行くのも侘しい。
(出典:森村誠一『棟居刑事の断罪』)
・その優しい言葉は、お千に対してよりも、自分自身の侘しい心を打った。
(出典:海野十三『棺桶の花嫁』)
・この侘しい冬籠りの中で、岸本の心はよく自分の父親の方へ帰って行った。
(出典:島崎藤村『新生』)
類語
・孤独(こどく)
意味:頼りになる人や心の通じあう人がなく、ひとりぼっちで、さびしい・こと(さま)。(出典:大辞林 第三版)
・煢然(けいぜん)
意味:孤独なさま。たよりないさま。(出典:デジタル大辞泉)
・寂しい(さびしい)
意味:心が満たされず、物足りない気持ちである。(出典:デジタル大辞泉)
侘しいの意味③「貧しくてあわれなさま。みすぼらしい。」
「侘しい」の三つ目の意味は「貧しくてあわれなさま。みすぼらしい。」です。
外見が貧弱で、劣っている様子を言います。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・薄汚ない侘しい舞台であるからこそ、匂いたったのでございましょう。
(出典:皆川博子『旅芝居殺人事件』)
・駅には近いが、辺鄙な場所に侘しげな看板を掲げている旅館だった。
(出典:松本清張『球形の荒野 新装版(下)』)
・忘れた頃に現れる侘しい街灯のおかげで、なんとか行く手が見える程度だ。
(出典:坂東眞砂子『13のエロチカ』)
類語
・醜穢(しゅうわい)
意味:みにくくけがらわしいこと。(出典:デジタル大辞泉)
・しがない
意味:とるにたりない。つまらない。(出典:大辞林 第三版)
・心許ない(こころもとない)
意味:気づかわしい。頼りなくて不安だ。 (出典:大辞林 第三版)