伯仲
「実力が伯仲している」などのように使う「伯仲」という言葉。
「伯仲」は、音読みで「はくちゅう」と読みます。
「伯仲」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「伯仲」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
伯仲の意味
「伯仲」には次の二つの意味があります。
1 兄と弟。長兄と次兄。
2 力がつりあっていて優劣のつけがたいこと。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
伯仲の意味①「兄と弟。長兄と次兄。」
「伯仲」の一つ目の意味は「兄と弟。長兄と次兄。」です。
中国では、兄弟の順序を表す「伯仲叔季」という言葉があり、それぞれ「伯」は長男、「仲」は次男、「叔」は三男、「季」は四男を指します。
なお、兄弟の中に女の子が含まれる場合は「孟仲叔季」で表されます。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・伯仲叔季の観点でいえば、叔母は母さんの妹に当たるんだね。
・叔父と伯父の違いは、伯仲叔季のルールで考えればすぐわかるよ。
・昔の中国の人物名に仲が多いのは、伯仲叔季に基づいた命名で統一されてたからなんだ。
・馬氏の五常は伯仲叔季に則って命名されたらしい。
・伯仲叔季そろった男ばかりの4人兄弟で、我が家は毎日騒々しいです。
伯仲の意味②「力がつりあっていて優劣のつけがたいこと。」
「伯仲」の二つ目の意味は「力がつりあっていて優劣のつけがたいこと。」です。
上記の意味①が転じて、長男と次男には大きな差がないことから、優劣がつけづらいという意味合いで使われるようになりました。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・それからあたらぬ人とあたった人が相伯仲し、最後にM大尉の番になりました。
(出典:小酒井不木『国際射的大競技』)
・先生の服装は中野君の説明したごとく、自分と伯仲の間にある。
(出典:夏目漱石『野分』)
・合併問題は、積極推進派、反対派の勢力が伯仲して膠着している模様である。
(出典:森村誠一『日蝕の断層』)
・二者はその重さ伯仲して私の心の天秤を壊さんばかりにねじ曲げた。
(出典:森見登美彦『有頂天家族』)
・丹波から来た足利軍本隊も、この戦いに参加したので、伯仲した戦いとなった。
(出典:新田次郎『新田義貞(下)』)