今際
「今際の際」などのように使う「今際」という言葉。
「今際」は、熟字訓で「いまわ」と読みます。
「今際」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「今際」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
今際の意味
「今際」には次の意味があります。
・もうこれ限りという時。死にぎわ。臨終。最期。(出典:デジタル大辞泉)
言い換えると、死ぬ間際、まさに命の炎が燃え尽きるその時、という意味です。
語源は、「今は限り」「今はよし」などの下の部分を省略したもの、といわれています。
小説などでの具体的な使い方・例文は下記の通り。
使い方・例文
・彼は今際の際に、犯人を示すダイイングメッセージを残したのではないのか。
(出典:森村誠一『棟居刑事の復讐』)
・清秀が今際に恨みを言ったのなら、陽子が止めたって殺してやるが。
(出典:小野不由美『十二国記 7 風の万里 黎明の空(下)』)
・主は今際にどんな声をあげるのか。烈火の如く猛るのか、涙ながらに懇願するのか。
(出典:事務狂『fate/stay night 月姫 (TYPE-MOONクロスオーバーの最高峰、文庫5~6巻のボリューム)』)
・糸惣の隠居は今際に兄ィの名前ェを出しているんですぜ。
(出典:宇江佐真理『髪結い伊三次捕物余話 紫紺のつばめ』)
・お嬢様の臓器を移植すれば助かる可能性もありましたが、父親は今際のきわに拒否したのです。
(出典:初野晴『水の時計』)
・してみればいまわの際に梨枝子夫人がどんなことを虹之助に囁いたかわからない。
(出典:横溝正史『仮面劇場』)
・あの娘の本当の母親が、いまわのきわに歌ってやった、あの歌だ。
(出典:友野詳『妖魔夜行 闇より帰りきて』)
・いまわと云う時に、死んだ娘の名を呼んだとも云う。
(出典:寺田寅彦『やもり物語』)