事なかれ主義
「彼は事なかれ主義の人です」などのように使う「事なかれ主義」という言葉。
「事なかれ主義」は、音読みで「ことなかれしゅぎ」と読みます。
「事なかれ主義」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「事なかれ主義」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
事なかれ主義の意味
「事なかれ主義」には次の意味があります。
・いざこざがなく、平穏無事に済みさえすればよいとする消極的な態度や考え方。(出典:デジタル大辞泉)
事なかれ主義の人は争いや喧嘩が起こらないように平穏であることを望みます。
なので波風が立たないように、自分の保身を第一に行動する傾向があります。
小説などでの具体的な使い方・例文は下記の通り。
使い方・例文
・主任は、中央競馬会の正式な職員だけに、すべてに事なかれ主義なところがある。
(出典:西村京太郎『現金強奪計画 ダービーを狙え』)
・傷つくわずらわしさだけを臆病に警戒して事なかれ主義でおどおど生きてきた。
(出典:瀬戸内晴美『美は乱調にあり』)
・かれはなによりも平和を好む、事なかれ主義の男であった。
(出典:マロ・エクトール・アンリ『家なき子』)
・ぼくは物語の傍観者にすぎないし、事なかれ主義な人間だ。
(出典:野村美月『文学少女シリーズ(全16巻) 2 “文学少女”と飢え渇く幽霊』)
・事なかれ主義に立てば丸く収まっているのに敢えて事を荒立てる必要はない。
(出典:有川浩『空の中』)
・そのころの侍なぞというものの大半は、もう事なかれ主義が身にしみついてしまっている。
(出典:池波正太郎『剣客群像』)
・日頃、事なかれ主義の感じの部長が、責任を取るといったので、記者たちの態度も、急に、変ってきた。
(出典:西村京太郎『特急「富士」に乗っていた女』)
・ことに上層部の体制べったりの事なかれ主義には、しばしば愛想が尽きる思いがした。
(出典:内田康夫『贄門島(にえもんじま)上』)