スケープゴート
「彼はスケープゴートにされた」などのように使う「スケープゴート」という言葉。
英語では「scapegoat」と表記します。
「スケープゴート」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「スケープゴート」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
スケープゴートの意味
「スケープゴート」には次の意味があります。
・いけにえの山羊 (やぎ) の意。出典は旧約聖書『レビ記』。贖罪 (しょくざい) のためやぎに罪を背負わせて野に放ったという故事からこの言葉が生れた。転じて、現在では民衆の不満や怒りの解決のために、代りに攻撃の標的とされてしまう者、集団、国、民族などのことをいう。ナチスが民衆の不満をユダヤ人への憎悪攻撃に転嫁、解消したのはこの典型的事例である。(出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)
元々は、贖罪のためのヤギを指す言葉ですが、日本では、責任を転嫁するための身代わりという意味で使われることが多いです。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・せめて俺の代わりを務めてくれるスケープゴートが欲しいところだね。
(出典:谷川流『2 涼宮ハルヒの溜息』)
・あなたは事態を混乱させるためだけのスケープゴートじゃないとそういえるだけの根拠は何処に?
(出典:西尾維新『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』)
・国民の目をそらすには、理屈を超えたスケープゴートを作るしかなかった。
(出典:佐藤正明『陽はまた昇る 映像メディアの世紀』)
・誰もがスケープゴートをさらに不利な立場に追いこもうとしはじめているようだった。
(出典:松岡圭祐『千里眼の教室』)
・最後は、私がこれらの一連の残虐な殺人事件のスケープゴートにされるのだろうか。
(出典:パトリシア・コーンウェル『検屍官』)
類語
・人身御供(ひとみごくう)
意味:人のからだを神へのそなえものにすること。また、その人。転じて、人の欲望の犠牲になること。また、その人。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・人柱(ひとばしら)
意味:人身御供の伝説の一つ。架橋、築堤、築城などの水利、土木工事技術が未発達の時代、柱の強化の目的で、生きている人間を水底や土中に埋めたこと。神の心をやわらげ、人身のもつ霊質が柱に乗移るようにするためといわれる。日本には人柱の伝説が多いが、実際に行われたかどうかは定かではない。(出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)
・生贄(いけにえ)
意味:宗教儀礼の分類の仕方には種々あるが、儀礼において、動物等の殺害ないし供物の破壊をともなう儀礼を、宗教学、文化人類学では一般に犠牲sacrificeと呼んでいる。もともとこの言葉はラテン語でsacer+facere、つまり〈聖なるものにする〉という意味を含み、日本語の生贄、供犠(くぎ)に該当する。(出典:世界大百科事典)
・供え物(そなえもの)
意味:神仏に供える物。供物くもつ。おそなえ。(出典:デジタル大辞泉)
・蜥蜴の尻尾切り(とかげのしっぽきり)
意味:不祥事などが露見したとき、蜥蜴が尾を切り捨てて逃げるように、上の者が下位の者に責任をかぶせて、追及から逃れること。(出典:精選版 日本国語大辞典)