コール天
「コール天のズボン」などのように使う「コール天」という言葉。
「コール天」は、「コールてん」と読みます。
「コール天」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「コール天」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
コール天の意味
「コール天」には次の意味があります。
・英語のコーデュロイ corduroyの転訛語で、本来、フランス語のコルド・デュ・ロア corde du roiから出た名称。パイルで縦うねを表わした織物。うね幅は通常2~3mmで、ほかに種々の幅がある。繊維は綿で、地組織は平織、綾織。用途は,婦人子供服、背広上衣、ズボン、足袋、椅子張地など。(出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)
コーデュロイに天鵞絨(ビロードのこと)の「天」を合わせた言葉だと考えられています。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・彼女は、派手なコール天の茶羽織をきて夫婦の寝間の雨戸をしめていた。
(出典:平林たい子『うつむく女』)
・ぼくは自分の汚れたメリヤスのスウェターやコール天のズボンが気になった。
(出典:イネス/大門一男訳『蒼い氷壁』)
・彼女は黒と白のドレスを明るいグリーンのコール天のようなガウンに着かえていたが、人形のように無表情な顔はもとのままだった。
(出典:ハメット/田中融二訳『死刑は一回でたくさん』)
・植村はコール天のジャンパーの中に、真新しいセーターを着ていた。常陸宮妃殿下からの心尽しだった。
(出典:長尾三郎『マッキンリーに死す 植村直己の栄光と修羅』)
・いつものコール天の古い上着をつけ、庭仕事の手袋をはめ、右手に薔薇の枝切り鋏を持っていた。
(出典:カー/仁賀克雄訳『死が二人をわかつまで』)
類語
・コーデュロイ
意味:平織または綾織(あやおり)の地に、別の緯(よこいと)でタオルのような輪を浮かせ、輪の中央を切断して添毛とし、ブラッシ掛けを行なって畝(うね)を整え仕上げたもの。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・綿ビロード(めんビロード)
意味:綿糸を用いて織り、毛羽けばを表面に出したビロード。(出典:デジタル大辞泉)
・ビロード
意味:天鵞絨とも書き一名ベルベットという。添毛(てんもう)織物の一つで、織面に輪奈(わな)を出し、ときにはそれを切断して羽毛のようになった織物である。ビロードとは、ポルトガル語のベルードvelludo、スペイン語のベルードvelludeの転訛(てんか)した語といわれている。また天鵞絨の文字は、白い天の鳥という意味をもち、その品質をよく表している。(出典:日本大百科全書(ニッポニカ))
・添毛織(てんもうおり)
意味:織物の片面または両面にパイルを形成した織物。経(たていと)をパイルにしたものを経パイル、緯(よこいと)をパイルにしたものを緯パイルという。コール天、別珍、タオル地、カーペット、ビロードなど。パイル織物。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・綿織物(めんおりもの)
意味:木綿糸で織った織物。綿(めん)。綿織。木綿物。綿製品。(出典:精選版 日本国語大辞典)