やおら
「やおら立ち上がる」などのように使う「やおら」という言葉。
「やおら」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「やおら」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
やおらの意味
「やおら」には次の二つの意味があります。
1 静かに身を動かすさま、また、徐々に事を行なうさまを表わす語。
2 時間の経過とともに変化、進展し、ようやくその状態になるさま、事態が変わるさまを表わす語。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
やおらの意味①「静かに身を動かすさま、また、徐々に事を行なうさまを表わす語。」
やおらの一つ目の意味は「静かに身を動かすさま、また、徐々に事を行なうさまを表わす語。」です。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・廊下から声もかけずにやおら障子を開け、大変だ大変だと十回も言った。(出典:浅田次郎『壬生義士伝 上』)
・ベッドのほうへつかつかと進んで行き、彼の腕うでがやおら女を抱だきしめた。(出典:赤川次郎『一日だけの殺し屋』)
・と、目の前の男性がやおら立ち上って胸ポケットから名刺を取り出した。(出典:上坂冬子『おんなの一人旅』)
・「そうだろうともさ」と伯母さんはやおら腰こしをおろしながら、答えた。(出典:オルコット/吉田勝江訳『若草物語 2下』)
類語
・徐に(おもむろに)
意味:動き方がゆっくりしているさま。(出典:日本国語大辞典)
・そっと
意味:音を立てないように物事をするさま。(出典:デジタル大辞泉)
・そろそろ
意味:動作がしずかにゆるやかに行なわれるさまを表わす語。(出典:日本国語大辞典)
・ゆっくりと
意味:動作が遅いさま。(出典:デジタル大辞泉)
やおらの意味②「時間の経過とともに変化、進展し、ようやくその状態になるさま、事態が変わるさまを表わす語。」
「やおら」の二つ目の意味は「時間の経過とともに変化、進展し、ようやくその状態になるさま、事態が変わるさまを表わす語。」です。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・彼女はやおらわれにかえって、袖につつんでいたものをとり出した。(出典:山田風太郎『信玄忍法帖』)
・その声が、その顔が、やおら母とは違う、別の女性の声と顔に移り変わる。(出典:綾辻行人『暗黒館の殺人(下)』)
・手術が済んでしまってから、やおら金がないので、働いて返させてくれだとさ。(出典:安部公房『箱男』)
・勇作はやおら怒ったような顔をして歩き出した。(出典:小池真理子『雪ひらく』)
類語
・漸く(ようやく)
意味:物事がしだいに進行して、ある状態になるさま。(出典:デジタル大辞泉)
・次第に(しだいに)
意味:変化が少しずつ目立たない程度に進むさまをいう。(出典:日本国語大辞典)
・段々(だんだん)
意味:物事が次から次へと続くさま。かさねがさね。(出典:日本国語大辞典)
・やっとのことで
意味:ようやくのことで。(出典:デジタル大辞泉)