ほのか
「ほのかな恋心」などのように使う「ほのか」という言葉。
漢字では「仄か」と書きます。
「ほのか」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「ほのか」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
ほのかの意味
「ほのか」には次の二つの意味があります。
1わずかにそれと認められるさま。かすか。
2心や意識がぼんやりしているさま。かすか。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
ほのかの意味①「わずかにそれと認められるさま。かすか。」
「ほのか」の一つ目の意味は「わずかにそれと認められるさま。かすか。」です。
ろうそくの小さな灯りのような、ほんのわずかな物事を認識する様子のことです。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・それはただほのかな光を発しながらゆっくり沈んでいくのが見えるだけだ。
(出典:ヘミングウェー/福田恆存訳『老人と海』)
・男性用コロンと強い汗の匂いがほのかにするだけで何もなかった。
(出典:ディック/仁賀克雄訳『人間狩り ―ディック短編集』)
・しばらくして闇に目が馴れると、襖や障子がほのかに白く目にうつった。
(出典:三浦綾子『塩狩峠』)
・廊下沿いの壁は窓からの光を受けてほのかに白んでいた。
(出典:イネス/池央耿訳『怒りの山』)
類語
・漠(ばく)
意味:とりとめのないさま。ぼんやりしていてはっきりしないさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・不分明(ふぶんめい)
意味:明らかでないさま。はっきりしないさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・微か(かすか)
意味:物事の度合が、知覚をはたらかせたり記憶をたぐったりすることによって、かろうじて認められる程度であるさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・不鮮明(ふせんめい)
意味:鮮明でないさま。はっきりしないさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
ほのかの意味②「心や意識がぼんやりしているさま。かすか。」
「ほのか」の二つ目の意味は「心や意識がぼんやりしているさま。かすか。」です。
①が視覚的な意味合いに対し、②では心象での意味合いとなります。
わかりやすく言えば「かすかな感覚」のことです。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・けれども幸福は、それをほのかに期待できるだけでも、それは幸福なのでございます。
(出典:太宰治『愛と美について』)
・しかし私は一種のほのかな愛情に似たものを彼女に感じるようになっていた。
(出典:フィッツジェラルド/佐藤亮一訳『華麗なるギャツビー』)
・それは夜明けのような新鮮さと南国の春のようなほのかな歓びに溢れていた。
(出典:モーム/篠原慎訳『諜報員アシェンデン』)
・リリスは何年か何千年かかうして暮してゐるうちに、ほのかに一つの感情を味つた。
(出典:片山広子『古い伝説』)
類語
・杳として(ようとして)
意味: 暗くてよくわからないさま。また、事情などがはっきりしないさま。(出典:デジタル大辞泉)
・覚束無い(おぼつかない)
意味:しっかりせず、たよりない。(出典:デジタル大辞泉)
・朧気(おぼろげ)
意味:物事がはっきりしないさま。ぼうっとしているさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・淡い(あわい)
意味:執着や関心が少なくてあっさりしている。ほのかである。(出典:デジタル大辞泉)