なびく
「髪がなびく」などのように使う「なびく」という言葉。
「なびく」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「なびく」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
なびくの意味
「なびく」には次の二つの意味があります。
1 風や水の勢いに従って横にゆらめくように動く。
2 他の意志や威力などに屈したり、引き寄せられたりして服従する。また、女性が男性に言い寄られて承知する。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
なびくの意味①「風や水の勢いに従って横にゆらめくように動く。」
「なびく」の一つ目の意味は「風や水の勢いに従って横にゆらめくように動く。」です。
例えば、冒頭にある「髪がなびく」は「風によって髪が揺らめいている」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・いまは元気のいい切株畑だけが残されて風になびきながら波打っていた。
(出典:ウルフ/鈴木幸夫訳『波』)
・金色の髪は不思議な動物の秘密のたてがみのようになびいて輝いている。
(出典:桜庭一樹『GOSICK 第6巻』)
・家の窓の一部にはガラスがなく、庭に原色の洗濯物が風になびいていた。
(出典:帚木蓬生『受精』)
・ただかすかな風がたえず顔になびき、地上の世界のことを思いださせた。
(出典:C・L・ムーア『N・W・スミス&ジレル・シリーズ(全4巻) 1 大宇宙の魔女』)
・彼らは髪のように煙をなびかせて走る汽車を、憂鬱そうな目で眺めていた。
(出典:ヴェルヌ/木村庄三郎訳『80日間世界一周』)
なびくの意味②「他の意志や威力などに屈したり、引き寄せられたりして服従する。また、女性が男性に言い寄られて承知する。」
「なびく」の二つ目の意味は「他の意志や威力などに屈したり、引き寄せられたりして服従する。また、女性が男性に言い寄られて承知する。」です。
例えば、「権力になびく」で「権力に屈し、服従する」という意味になります。また、「男になびく」で「女性が男性の言うことを聞く」という意味となります。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・これも天朝になびかせるための手段の一つであったと解すべきだろう。
(出典:星亮一『最後の幕臣 小栗上野介』)
・クソくだらない言い伝えの一つや二つで俺がなびくとでも思ってるのか。
(出典:森絵都『風に舞いあがるビニールシート』)
・私だけが威風になびかぬように見え、そう思うことが彼の誇りを傷つけた。
(出典:三島由紀夫『金閣寺』)
・先生は自分になびかないような女に、きっと会ったことがないと思うわ。
(出典:カザノヴァ/田辺貞之助訳『カザノヴァ回想録 第一巻』)
・八の宮の許可もあるのだし、姫達は放っておいても自分になびくはず。
(出典:大塚ひかり『源氏の男はみんなサイテー ―親子小説としての源氏物語』)