なぞる
「指でなぞる」などのように使う「なぞる」という言葉。
「なぞる」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「なぞる」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
なぞるの意味
「なぞる」には次の二つの意味があります。
1 すでにかかれた文字や絵などの上をたどって、そのとおりにかく。
2 すでに行われた事実や書かれた文章などをたどって、再現する。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
なぞるの意味①「すでにかかれた文字や絵などの上をたどって、そのとおりにかく。」
「なぞる」の一つ目の意味は「すでにかかれた文字や絵などの上をたどって、そのとおりにかく。」です。
例えば、「下書きの線をペンでなぞる」で「下書きの線をペンで辿り、その通りに書く」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・ぐるっと泉の縁をなぞるように視線を動かした後、また元の位置に戻す。
(出典:有沢まみず『いぬかみっ!11』)
・男は目で彼の姿を捜しながら、空になったグラスを指でなぞっている。
(出典:角田光代『だれかのいとしいひと』)
・決められたルートをただなぞるように廊下を歩き下駄箱を通り校門を出て。
(出典:五十嵐雄策『乃木坂春香の秘密(全16巻) 乃木坂春香の秘密 15』)
・うちの障子の桟を指でなぞってみても、かすかなホコリもつかなかった。
(出典:下田治美『愛を乞うひと』)
・その視線をなぞるように、城田も店の女の一人一人に眼を向けて行く。
(出典:吉行淳之介『美少女』)
なぞるの意味②「すでに行われた事実や書かれた文章などをたどって、再現する。」
「なぞる」の二つ目の意味は「すでに行われた事実や書かれた文章などをたどって、再現する。」です。
例えば、「小説の主人公の行動をなぞる」で「小説の主人公の行動を再現する」という意味になります。また、「真似る」という意味でも使われます。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・犯人の行動に近い体験をなぞることができる唯一の場所といっていい。
(出典:内田康夫『遺骨』)
・すでに知っている展開を再びなぞることほど退屈で苦痛なことはないからだ。
(出典:竜騎士07『ひぐらしのなく頃に 7 皆殺し編』)
・エイは、一人であるのをいいことに、あの時の自分の行動をなぞってみた。
(出典:今野緒雪『スリピッシュ! 4 ひとり歩きの姫君(後編)』)
・その詩は東北地方の有名な詩人の作をなぞったもので覚えやすかった。
(出典:堀田善衞『広場の孤独』)
・敦樹はあのとき口にした言葉を、正確になぞるように声へと変えた。
(出典:伊都工平『天槍の下のバシレイス2 まれびとの棺 〈下〉』)