しきり
「しきりに続く」などのように使う「しきり」という言葉。
「しきり」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「しきり」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
しきりの意味
「しきり」には次の二つの意味があります。
1 同じ事が何度も重なるさま。さかんにつづくさま。重ねて。たびたび。しばしば。ひっきりなし。
2 物事の程度や、感情、熱意などの度合が強いさま。むやみ。熱心だ。(出典:精選版 日本国語大辞典)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
しきりの意味①「同じ事が何度も重なるさま。さかんにつづくさま。重ねて。たびたび。しばしば。ひっきりなし。」
「しきり」の一つ目の意味は「同じ事が何度も重なるさま。さかんにつづくさま。重ねて。たびたび。しばしば。ひっきりなし。」です。
例えば、「木を削る音がしきりに響いている」という文で「木を削る音が何度も響いている」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・しきりと玉をはじく彼女の様子はそれに一心を集中しているようだった。
(出典:松本清張『馬を売る女』)
・それをもうひとりの男が見物しながら、しきりと笑いを繰り返していた。
(出典:笹沢左保『雪に花散る奥州路』)
・灰色の空にしきりと霧が動いているのはやがて霽れてくる前触れであった。
(出典:松本清張『空の城』)
・すでに峠のむこうには朝倉の小部隊がしきりと出没しているようであった。
(出典:司馬遼太郎『国盗り物語』)
・しきりなく出入する足音や人の気が立っているのに、話声が聞えて来なかった。
(出典:藤原晋爾『秋津温泉』)
しきりの意味②「物事の程度や、感情、熱意などの度合が強いさま。むやみ。熱心だ。」
「しきり」の二つ目の意味は「物事の程度や、感情、熱意などの度合が強いさま。むやみ。熱心だ。」です。
この「しきり」を簡単に説明すると、「物事を気にする、熱中する」など物事に対する強い気持ちを表しています。例えば、「しきりにドアの鍵をかけたことを確認している」で「ドアの鍵をかけたかを気にして、何度もドアの鍵を確認している」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・しばらく歩いたころ、焔を肩に乗せた月光がしきりと背後を気にし始めた。
(出典:秋山瑞人『猫の地球儀 その1 焔の章』)
・なぜだか、「処女」号はしきりと敬意を表したがっているように見えた。
(出典:メルヴィル/高村勝治訳『白鯨(下)』)
・しきりと藻がくのであったが、武蔵の力を拒むだけの力すらないのだった。
(出典:吉川英治『宮本武蔵』)
・旅の中でも板東は、しきりと家族の話、特に万穂子について語り聞かせた。
(出典:藤堂志津子『ジョーカー』)
・母が僕に対する負い目から、しきりと見合いを勧めるようになりました。
(出典:山崎マキコ『ためらいもイエス』)