お家芸
「この演目は、彼らのお家芸」などのように使う「お家芸」という言葉。
「お家芸」は、訓読みで「おいえげい」と読みます。
「お家芸」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「お家芸」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
お家芸の意味
「お家芸」には次の二つの意味があります。
1伝統芸能などで、その家に伝わる独特の芸。
2その人が最も得意とする事柄。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
お家芸の意味①「伝統芸能などで、その家に伝わる独特の芸。」
「お家芸」の一つ目の意味は「伝統芸能などで、その家に伝わる独特の芸。」です。
後世にずっと伝えていく他に類のない技術や芸能などのことです。それらは特定の家系で受け継がれることが多いです。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・赤隈で顔をいろどって勇士に扮し、お家芸の荒事を演じたが、心の中で、百合は手を打った。
(出典:杉本苑子『絵島疑獄(上)』)
・今日、神田伯龍あたりが意味なく時代に迎合してせっかくのお家芸をば放棄している、思えば無理からぬ次第といえよう。
(出典:正岡容『我が円朝研究』)
・さらに明治末期以後は春風亭のお家芸となり、近年では八代目春風亭柳枝の唄うような釣りでのひとり言は印象に残る。
(出典:麻生芳伸編『落語百選 秋』)
・、明治三十年以前の画人というものは何となく悠揚たるものがあり、随って、いわゆる「お家芸」を守っている画人は、時代と共に忘れられてしまい、この頃に孜孜として研鑽を重ねたひとが後に名をなしたのです。
(出典:上村松園『明治懐顧』)
類語
・売り物(うりもの)
意味:商売で、客足を引き寄せるのに役立つもの。(出典:デジタル大辞泉)
・お株(おかぶ)
意味:その人の得意とするわざ。また、その人特有の癖。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・専売特許(せんばいとっきょ)
意味:その人だけが得意とする技術・方法など。(出典:デジタル大辞泉)
・職人芸(しょくにんげい)
意味:自分の職業として保持している芸事。すぐれた職人が持っている技術。(出典:精選版 日本国語大辞典)
お家芸の意味②「その人が最も得意とする事柄。」
「お家芸」の二つ目の意味は「その人が最も得意とする事柄。」です。
日常では「特技」と言い換えられますが、個人的な特技だけではなく集団での特技として使用される言葉です。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・ダイナマイト打線と呼ばれて、集中打がお家芸だったタイガースも、二リーグ分裂のときに主力をオリオンズに引き抜かれてスケールが小さくなる。
(出典:色川武大『なつかしい芸人たち』)
・お家芸たる白刃をもっての乗っ取りだ。
(出典:和田竜『村上海賊の娘 下巻』)
・対話を繰り返して相手に物事の核心を悟らせるというやりかたは、この国の諸子学派のお家芸といってもよい特徴である。
(出典:酒見賢一『後宮小説』)
・最終日のマラソンは、さすがに日本のお家芸だけあって、はたして日本ヱスビー食品の脇瓜選手が好タイムで優勝した。
(出典:山口瞳『還暦老人ボケ日記』)
類語
・特技(とくぎ)
意味:他の者に比べ特に上手で自信のある技芸・技術・能力。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・エキスパート
意味:ある分野でじゅうぶん経験を積み、高度の知識、技術、技能を持った人。熟練者。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・凄腕(すごうで)
意味:ふつうにはできないような事をやってのける手腕。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・堪能(たんのう)
意味:才能にすぐれ、その道に深く通じていること。習熟していること。また、その人。(出典:精選版 日本国語大辞典)