愛別離苦
「愛別離苦の悲しみ」などのように使う「愛別離苦」という言葉。
「愛別離苦」は、音読みで「あいべつりく」と読みます。
「愛別離苦」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「愛別離苦」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
愛別離苦の意味
「愛別離苦」は仏教用語で、次の意味があります。
・親子・兄弟・夫婦など愛する者と別れる苦しみ。この世には愛する者と別れるという苦があり、会った者とは必ずいつかは別れる運命にある。この世のかなしさ、はかなさをいう。(出典:四字熟語を知る辞典)
「愛別離苦」は、もともと仏教用語であり、八苦(はっく=人間の八つの苦しみ)の一つとされています。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・その中で一番苦しいものは愛別離苦だとお文は思う。
(出典:宇江佐真理『髪結い伊三次捕物余話 黒く塗れ』)
・生・老・病・死の四つの苦に、愛別離苦・怨憎会苦・求不得苦・五陰盛苦を入れた八苦です。
(出典:麻生佳花『尼は笑う』)
・恋は叶う方がよさそうなもんですが、そうすると愛別離苦です。
(出典:泉鏡花『春昼』)
・愛別離苦の悲しみと偉大なものに生命を賭ける壮烈な想いとで翁の腸は一ねじり捩れた。
(出典:岡本かの子『富士』)
・いまにも愛別離苦にめそめそ泣いて失神しようかという瞬間、稚樹の、蝶と蜜鳥の、栗鼠の温かい幻想は魔王サフィアーンを慰めました。
(出典:古川日出男『アラビアの夜の種族3』)
類語
・離愁(りしゅう)
意味:別れの悲しみ。(出典:デジタル大辞泉)
・扇の別れ(おうぎのわかれ)
意味:男女の名残り尽きない別れにいう。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・苦悶(くもん)
意味:肉体的または精神的に苦しみもだえること。(出典:デジタル大辞泉)
・苦汁をなめる(くじゅうをなめる)
意味:つらくて嫌な思いをする。(出典:デジタル大辞泉)
・辛酸を嘗める(しんさんをなめる)
意味:苦しく、つらい目にあう。(出典:デジタル大辞泉)