行脚
「行脚する」などのように使う「行脚」という言葉。
「行脚」は、音読みで「あんぎゃ」と読みます。
「行脚」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「行脚」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
行脚の意味
「行脚」には次の二つの意味があります。
1 仏道修行のために、僧侶が諸国を歩き回ること。
2 ある目的で諸地方を巡り歩くこと。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
行脚の意味①「仏道修行のために、僧侶が諸国を歩き回ること。」
「行脚」の一つ目の意味は「仏道修行のために、僧侶が諸国を歩き回ること。」です。
僧侶が仏教の修行のために、多くの国を徒歩で巡ることを指します。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・孤峯庵にいた時でも、寺をたずねてきた諸国行脚の僧はいくたりもいた。
(出典:水上勉『雁の寺(全)』)
・行脚僧の手記などにも目を通しておくほうがいいだろうな。
(出典:チェーホフ/小笠原豊樹訳『チェーホフ短編集「決闘」』)
・むろん、八人の行脚僧の影など、彼の視界からけしとんでしまった。
(出典:山田風太郎『柳生忍法帖(上)』)
・諸国をうろつく行脚僧のこともそう呼ぶようになった。
(出典:小野不由美『悪霊シリーズ 6 悪霊とよばないで』)
類語
・雲水(うんすい)
意味:所定めず諸所を遍歴する禅僧。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・旅増(たびぞう)
意味:各地を回って修行して歩く僧。(出典:デジタル大辞泉)
・頭陀(ずだ)
意味:僧が修行のために托鉢(たくはつ)して歩くこと。また、その僧。(出典:デジタル大辞泉)
・雲衲(うんのう)
意味:衲袈裟(のうけさ)、すなわち粗末な袈裟をまとって各地を遍歴し修行する僧。(出典:精選版 日本国語大辞典)
行脚の意味②「 ある目的で諸地方を巡り歩くこと。」
「行脚」の二つ目の意味は「 ある目的で諸地方を巡り歩くこと。」です。
各地を目的をもって旅をするときに使われます。
本来は徒歩で巡ることを指していますが、昨今では徒歩関係なく旅をする際に使われることが多いです。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・ちなみに、彼が留年した理由だが、女王様を探して全国行脚していたかららしい。
(出典:沖田雅『先輩とぼく 02』)
・芭蕉の供をして諸方を行脚し、翁最後の際にも側に侍し看護に当たった。
(出典:辻潤『風狂私語』)
・そうしたカフェー行脚の生活が、およそ二月あまりも続いたことでしょうか。
(出典:横溝正史『山名耕作の不思議な生活』)
・諸国を行脚し、浄財を集めて、自分の寺に釣り鐘を寄進するのが夢であった。
(出典:平岩弓枝『御宿かわせみ 22 清姫おりょう』)
類語
・巡行(じゅんこう)
意味:各地を巡り歩くこと。(出典:デジタル大辞泉)
・遍歴(へんれき)
意味: 広く各地を巡り歩くこと。(出典:デジタル大辞泉)
・漫遊(まんゆう)
意味:気の向くままに各地を回って旅すること。(出典:デジタル大辞泉)
・巡回(じゅんかい)
意味:ある目的のために、各地を順次に移動すること。(出典:デジタル大辞泉)